読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

羊の夜をビールで洗う

シングルファーザーなプログラマーの子育て&暮らしのブログ。

「鬼十則」が絶対じゃない。会社が変わればルールも変わる。

しごと

少し前に、電通に勤務していた新入社員の女性が、超過勤務が原因で自殺されるという痛ましい出来事が起きました。それ以来、超過労働やそれをもたらす社風について、さまざまな議論が交わされています。

 

そんな中、渦中の電通では、長年来の行動規範としてきた「鬼十則」という仕事上の行動原則について、社員手帳への掲載をとりやめる検討をしているそうです。

 

www.huffingtonpost.jp

 

「鬼十則」については、いくつかのビジネス書にもまとめられているので、私も少し前に手にとって読んだことがあります。

 

 

その「鬼十則」は、以下のような内容で構成されています。

 

1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。

2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。

3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。

4.難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。

5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。

6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。

7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。

8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。

9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。

10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

(「鬼十則」(吉田秀雄記念事業財団のHPより)

 

この内容のうち、5番の「取り組んだら放すな...」あたりの下りが、度を越えた長時間労働の元凶である、と問題視されているようです。

 

ですが、他の項目も含めて、すべてが悪だと言い切れる内容ではありませんし、電通のような顧客ありきで形のないモノを相手にする企業では、これらの原則を貫き通すことで、最良の仕事が生まれるのだ、と考える理屈も分からなくはない気がします。

 

しかし、電通のような誰もが憧れる大企業の中で、誰しもがこのような原則を徹底していると、「その価値観こそが絶対であり全て」と思い込んでしまい、それに順応しきれない自分とのギャップを責めることで、悲劇的な結末に至ってしまう、ということが起きているのではないでしょうか?

 

実際、会社や業界が変わるだけで、風土や原則って結構変わります。私も過去に二度転職を経験していますが、入る会社ごとに微妙にルールが変わって、それに戸惑うというよりは、その変化が面白いなぁ、と「郷に入りては郷に従う」ことを楽しんでいる気がします。

 

前置きが長くなりましたが、参考までに、私がこれまで在籍した会社の中で、好きだったルール、印象に残ったルールをいくつか挙げてみます。

 

年齢、役職に関わらずさん付けで呼ぶ

比較的社員の年齢が若くて、風通しの良い会社によくあるルールかと思いますが、私はこのルールが結構好きです。さん付けで呼ぶことで、どの社員の方にも最低限の敬意を示せますし、逆に呼び捨てで呼んでいると、だんだん自分の気分まで粗暴になってくる気がします。

 

また、成果主義が主流になりつつある昨今は、いつ自分と相手との立場関係がひっくり返るかも分からぬご時世です。であれば、はじめから「さん」付けで呼んでおく、のはわりと合理的な考え方だと思います。

 

接待禁止

これも複数の会社でありました。接待は業界によっては必要悪である、と見なされるところもあるでしょうが、ものづくりの会社や(下請けでなく)顧客と直接取引をする会社だと、なるべく顧客と対等な関係を保つために、敢えて接待をしない会社も結構あります。

 

私はそもそも接待したり、されたりする立場であったことはないのですが、このルールも、会社がフェアにビジネスを戦っている感じがして、好きです。

 

上司が飲み会に誘うの禁止

サラリーマンと言えば、終業後の「呑みニケーション」を重視される会社も多いでしょうが、以前在籍していたところで「上司が立場を利用して部下を飲み会に誘うのは禁止」というルールを設けていた会社がありました。

 

かなりドライな社風だな〜、と思われるかもしれませんが、気の合うもの同士ではよく呑みに行っていましたし、あまり気の乗らない飲み会に無理に誘われる、ということがなかったので、結構有り難かった気がします(私自身は、飲み会自体は嫌いではないです)。

 

また、これについては逆に「管理職になったら部下との交流を深めるために一定額の手当を支給する」会社もあったので、会社によって呑みニケーションの考え方もさまざまだなぁ、と面白く感じます。

 

ノー残業デー

こちらも複数の会社でありましたが、こちらは逆に「イマイチだなぁ」と思っているルールです。

 

ノー残業デーは、「週や月に一、二回、定時に帰宅することを推奨する」と定めているところが多いのではないかと思いますが、大抵有名無実化することが多い気がします。

 

その時点の仕事の量や忙しさ、は人によって違うので、全員同じ日に決まった時間に帰る、と決めることに無理がある気がするんですよね。結局、その日は定時で帰っても別の日に残業して埋め合わせをしたりすることもありますし。

 

週や月のどれかの日をノー残業にする、と決めるよりは、全体を通じて「○時に帰ることを目標にする」と決めた方が、まだ浸透しやすい気がします。

 

以上、「電通の鬼十則」と比べたら、随分と意識低めなルールの話に流れてしまった気もしますが、主張したかったことは、電通のような華々しい業界でなくても、その会社の風土に流されて「会社のルールや価値観は絶対!」と思い込んでしまって、性に合わないことを強いられている人は、わりと多いんじゃないかな〜、ということです。

 

そこから一歩引いた視点を持つために、いきなり転職する!...のはハードルが高いにしても、同業種でも他業種でも、いろんな会社に勤める友人や先輩に話を聞いてみたりするのは、働き方や仕事の価値観を見直す、よいきっかけになるのでは?と思いました。

 

スポンサーリンク