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@kyanny's blog

Write down what I learnt. Opinions are my own.

エンジニア立ち居振舞い: ルーズボールを拾う

お題「エンジニア立ち居振舞い」

チャットや課題管理システムを使って非同期コミュニケーションをしていると、誰かに向けて発せられたけど誰も応答していない、ルーズボールのようなメッセージができてしまう。こういうのを見かけたら、できるだけ拾うようにしている。

Quipper の Slack には #development という公開チャンネルがある。開発者が開発にまつわる話をする場で、開発者向けの #general チャンネルといった位置づけだ(なお、開発者向けの #random に相当する #slackoverflow というチャンネルもある)

#development は公開チャンネルなので、開発者だけでなく、営業・マーケティング・カスタマーサポートなどの部門で働く人たちも参加している。時折、彼らがシステムのことで何か困っていて、開発者の手助けが必要なことがある。そういうとき、誰でも構わないからちょっと見て欲しい、という意図で特に誰も指名せずに呼びかけられると、みんな「誰かが反応するだろう」と思ってスルーしてしまい、誰も反応しない、そのうち別の話題でログが流れてしまい、ますます反応されづらくなる、ということがおこる。それはよくないのでスルーせずちゃんと反応しよう、と思ってほどほどに気をつけている。

こういうコミュニケーション上の行き違いは職種に限らず起こるものなので、個人の姿勢という点では「エンジニア立ち居振る舞い」とは関係がないかもしれない。けれど、あえてお題に投稿しようと思ったのは、単に自分が「いいひと」だと思われたいからではなくて、チームの一員であるエンジニアの立ち居振る舞いとして、特筆すべき点があると考えているからだ。

エンジニアが大勢いるのに誰も反応しない、という状況は良くない。手助けを求めている人からすると、「エンジニアは自分の呼びかけは無視するくせに、エンジニア同士の話にはすぐに返事をしていてひどい。不誠実だし、信頼できない」と感じてしまうかもしれない。たとえ、その呼びかけの内容に明るい人がその場におらず、他の人たちはちょうどサービスに障害が発生していて対応のためのやり取りをしていた、みたいな状況だったとしてもだ。 Quipper は世界中にオフィスがありコミュニケーションを難しくする要因がいくつもあるので、信頼関係を築くのがより一層大切になってくる。些細なことで信頼を失いたくはない。

ルーズボールを拾ったからといって、最後までボールを持ち続けるわけではない。むしろ、ふさわしい誰かにパスすることのほうが多い。実現が難しいリクエストに対して「ごめん、それは無理です」とつれない返事をせざるを得ないことも少なくない。それでも、顔の見えない「エンジニア」を頼りにしている人に対して、ぼくたちエンジニアはあなたのことをちゃんと見てるよ、と一言伝えることには、意味があると思う。