【ソウル聯合ニュース】韓国国防部の韓民求(ハン・ミング)長官は14日、世論の支持なく無理に日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結が進められているとの指摘があることについて、「国民の同意が前提条件だと言ったことはない」と記者団に述べた。
韓日関係の特殊性を踏まえ条件が整ってからGSOMIAを締結すると説明していた政府のこれまでの立場を変えるのかと尋ねられると「軍事的な必要性が2番で、国民の同意が1番だとは言っていない」と強調した。
韓長官はGSOMIAを推進する理由に関し、「軍事的必要性があるほか、さまざまな政治的状況や日本との関係もあるが、そのうち軍は軍事的な必要性が優先されるべきだと判断した」と説明した。
だが、国会の議事録を見ると韓長官の発言は事実と異なる。韓長官は先月14日の国政監査で「GSOMIAを推進する上で条件が整う必要がある」と述べた。野党議員が「国民的同意がある場合に推進するという意味か」と再三確認を求めると、「そうだ。多くの人が支持するか、そうしたことがなければならないと考えている」と答えた。
韓長官が自身の発言を翻してまでGSOMIA締結を急いでいることから、世論の関心が朴槿恵(パク・クネ)大統領の親友、崔順実(チェ・スンシル)容疑者の国政介入疑惑に向けられている隙に、議論を呼びそうな問題を進めてしまおうとしているのではないかという指摘が出ている。
これについて韓長官は、「崔容疑者の問題とは全く関係ない」と否定。国民を説得し世論の支持を得るまでGSOMIA締結をめぐる協議を中断すべきだとする意見については「中断は考えていない」と断言した。
野党が自身の解任案を推進する可能性を示唆したことに関しては、「何があってもその結果を甘受するという姿勢で臨んでいる」とし、野党の動きには動じないとする立場を強調した。
韓国は日本との直接的な軍事情報共有に向け、14日午後に東京でGSOMIAに仮署名する予定で、次官会議や閣議、大統領の裁可を経て、早ければ今月中にGSOMIAを締結する計画だ。
ただ、日本が歴史認識問題に対し従来の立場を変えていない状況で韓国が日本と軍事協力を行うことは不適切だとする指摘が相次いでおり、締結までは難航も予想される。
両国は2012年6月にGSOMIAを締結する予定だったが、日本と密室で軍事協力を進めたとの批判が韓国内で噴出し、締結直前に延期になった。