今月12日にソウル都心で行われた3回目のキャンドル集会には警察推定で26万人(主催者側推定100万人)の市民が集まり、各自が「大統領退陣」を叫んだ。彼らが手にしていた紙や板には「国政から退け」「下野せよ」などさまざまな文言が書かれていたが、それらはいずれも朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の在任を拒否するもので、しかも朴大統領の耳にも入るほど大統領府から近い場所で叫ばれていた。大統領府は13日「大統領は現状の厳しさを深く認識しており、国政を正常化するため頭を悩ませている」などとコメントしたが、今の政局はもはやそのようなコメントとは全くレベルの違った次元で展開されているのだ。
13日には与党セヌリ党の大統領候補者らも、キャンドル集会に参加する市民らと同じ要求を朴大統領に突き付けるようになった。昨日はセヌリ党の非朴系議員や党員らが中心となって非常時局会議が開催され、その中で同党の金武星(キム・ムソン)前代表は「朴大統領は国民の名の下に弾劾の道を進まねばならない」「大統領とセヌリ党は秩序だった形の政局収拾策を一日も早く提示しなければならない」などと訴えた。呉世勲(オ・セフン)前ソウル市長は「挙国中立内閣の発足に向け深く考え、(大統領が)決断を下すべき時期が、もう目前に迫っている」と指摘し、その上で朴大統領に離党を求めた。元喜竜(ウォン・ヒリョン)済州道知事は「朴大統領自ら決断を下すべきだ」として大統領の退陣・下野を要求した。今や与党内でさえ弾劾と下野を語ることはタブーでなくなったようだ。このように与党幹部らは野党が主張してきた「大統領が国政から手を引くこと」よりもさらに強硬な要求を出し始めているが、このような状況は今後の政局に大きな影響を及ぼしそうだ。
朴大統領は早ければ明日あるいは16日に検察の取り調べを受ける見通しだという。ミル財団とKスポーツ財団が800億ウォン(現在のレートで約73億円)近い巨額を集めた経緯に加え、崔順実(チェ・スンシル)氏による国政の私物化に朴大統領がどこまで関与していたのかなど、さまざまな疑惑が大統領への聴取によって明らかになるだろう。すでに身柄を拘束されている安鍾範(アン・ジョンボム)前大統領府政策調整主席秘書官、チョン・ホソン前大統領府付属秘書官らの証言や、12日と13日に行われた財閥トップらへの事情聴取によって、その実態はすでに明らかになっている可能性も高い。法律に詳しい識者らの間からは「朴大統領は現職の大統領でさえなければ当然起訴が可能」といった指摘も出ている。一連の問題はどれも朴大統領と崔順実氏によって引き起こされただけに、今週末に検察が崔氏を起訴する際には大統領に対する事情聴取の結果も公表されるだろう。ただ問題はその後の政局だ。このまま今以上に深刻な状況になるのはもはや避けられないだろう。