【社説】トランプ政権下の米中貿易摩擦、韓国を襲う二重の荒波

 金融市場へのショックは収まったが、世界各国はトランプ米次期大統領に不安な視線を向けている。トランプリスクで実際に起きる可能性が高いとされるのが米中の貿易摩擦だ。両国に挟まれた韓国には数倍大きな衝撃となる。

 トランプ氏は選挙運動期間中、「中国が米国を豚の貯金箱扱いしている」と非難し、中国を為替操作国に指定した上で、45%の高率関税をかけるという公約を掲げた。就任初日に中国を為替操作国に指定すると語るほどだ。これについて、中国側も「米国はボーイング社の旅客機を中国にこれ以上売りたくはないのか」とひそかに報復をちらつかせている。

 韓国は輸出の40%を米中に依存している。トランプ氏の保護貿易主義で韓米の通商関係が悪化することも問題だが、米中の通商関係が悪化しても韓国の輸出は大きな衝撃を受ける。韓国が中国に輸出する製品の70%が中間財であり、中国でそれを加工し、米国に輸出する構造だからだ。二重の荒波が押し寄せることになる。

 選挙後にトランプ氏は「あらゆる中国製品に45%の関税をかけるというのは誤って伝わった話だ」と一歩後退する態度を見せている。しかし、どんな形式であれ、米中間の貿易秩序は変化するとみられる。早期に米中に偏った輸出先を多角化するとともに、内需市場を拡大しなければならない。急務が山積している状況にもかかわらず、韓国には経済の司令塔すら存在しない。実に残念なことだ。

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