■小さないのち 児相の現場で

 「どうかこのまま泣かないで」。西日本にある児童相談所(児相)の30代の女性ワーカー(児童福祉司)は祈るような気持ちでいた。腕の中に、母親から引き離して保護しようとしている赤ちゃんがいる。

 女性ワーカーたちはこの日午前9時ごろ、20代の母親と赤ちゃんが暮らす家を訪れた。「おじゃまします」。2人で部屋に上がって母親と話をしながら、さりげなく赤ちゃんを抱かせてもらった。ニコニコと笑い、かわいいと感じた。

 もう一人の職員が母親と話し込むすきをみて、女性ワーカーは赤ちゃんを抱いたまま玄関に向かい、外で待機していた別の職員に赤ちゃんを手渡した。その職員がその場を離れたのを確認してから、こう告げた。

 「○○ちゃんを職権保護しました」

 母親は叫んだ。

 「いやや、いやや、いややあ~!」

 母親は台所に走って包丁を取り…

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