西江大の許允(ホ・ユン)国際大学院長は「TPPに後から加盟する場合、農産物の追加的開放など高い『参加料』を払わなければならなかった韓国としては、TPP破棄はむしろチャンスになる可能性がある」と語った。ソウル大のアン・ドククン教授も「トランプ政権が主導する新たな多国間FTAに韓国が主導的に参加すれば、TPP交渉で逃した機会を取り戻すことができる」との意見だ。
韓国が新たに模索する経済統合体としては、「韓米日FTA」「北米自由貿易協定(NAFTA)プラス韓国・日本」「NAFTAプラス韓国・日本・オーストラリア・ニュージーランド」の3種類が挙げられる。こうした多国間FTAを通じ、韓国は中間国としてアジアで発言力を高めることができる。
■韓米FTA再交渉の可能性は半々
トランプ政権が韓米FTAを廃止する可能性について、専門家は「可能性はほとんどないが、改定交渉には備える必要がある」と異口同音に語った。許允院長は「トランプ氏による公約と世論を分析した結果、韓米FTAは再交渉の対象になり得る」と予想し、「最近韓米FTAで米国が一方的に損をしているという世論が高まり、FTA改定交渉を求める圧力となるかもしれない」と指摘した。その上で、許院長はその場合、協定文を習性するのではなく、付属文書の形式を取れば議会の批准を経ずに改定効果を上げることができるとした。
一方、韓国経済研究院のハン・サンワン専務は「トランプ氏は韓米FTAのせいで米国人が雇用を奪われたと主張するが、韓米FTAを改定したからといって、雇用がどれほど増えるかは疑問だ。米政府は自国民にアピールするため、スーパー301条のような強硬な保護貿易措置を講じる可能性が高い」と分析した。チェ・ウォンモク教授は「韓国が韓米二国間でFTA交渉を行う場合、安全保障、北朝鮮の核問題などが絡み、交渉力が低下しやすい。多国間FTAを推進すれば、中間国として交渉力を高められる」との見方を示した。