韓国統一部(省に相当)は13日、韓国に入国した脱北者が累計3万人を突破したと発表した。脱北者7人が第三国を経由して今月11日に韓国入りし、入国した脱北者数は同日基準で3万5人となった。
韓国に入国した脱北者は、1962年6月に初の亡命者が出て以降、2006年2月に1万人、10年11月に2万人を突破した。年間では09年に2914人でピークに達し、その後は北朝鮮当局による国境監視の強化などを受けて減少傾向を見せたが、今年は10月までで1155人と、前年同期に比べ18%ほど増えた。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による恐怖政治が脱北者の増加につながっているようだ。
脱北者が本格的に増えたのは、1990年代半ばに100万人以上が餓死した「苦難の行軍」以降だ。当時は飢えが脱北の理由だったが、最近は韓流などに接して韓国の状況を知り、より良い暮らしや政治的自由などを求めて韓国入りするケースが多い。
脱北者の定着支援施設「ハナ院」で教育を受ける脱北者を対象に統一部が実施したアンケートによると、1999-2001年は脱北の理由として「飢えや経済的困窮」を挙げた比率が66.7%に達したが、2014-16年の調査ではこの比率は12.1%に低下した。一方、「自由を手に入れるため」との回答は11.7%から32.8%に上昇した。
北朝鮮の中間層の脱北も増加傾向にある。北朝鮮での生活水準が「上級・中級」だったとの回答は、1999-2001年は23.5%だったが2014-16年には66.8%に上昇した。
エリートの脱北者の場合、子女の教育や将来が脱北の主因になっているようだ。北朝鮮事情に詳しい消息筋によると、海外で勤務する北朝鮮の駐在員らは、留学中の子どもと一緒に帰国しろという命令が出ることを最も恐れているという。