訴状が来た!(3) ~判決が来た
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投稿日:2016/10/30
撮影期間 |
2015年08月26日 ~
2016年10月28日 |
業者は顧問弁護士を使ったが、われわれのグループは40万円程度の訴訟を引き受けてくれる弁護士もいないことから、akoが対応した。
参考のため、akoが裁判の論点をまとめて裁判所に提出した最後の準備書面をそのままコピー&ペーストしておく。こんな調子で裁判をしていたという雰囲気を読み取っていただくためだけなので、適当に読み飛ばしてください。
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東京簡易裁判所民事第1室2係 2B御中
事件番号 平成27年(ハ)第36174号
(9月28日(木)午前11時30分 於401号法廷)
事件名 請負代金請求事件
原 告 株式会社フレームマン
被 告 天の光地の灯実行委員会こと池田晶子
準備書面
2016年9月25日
氏名 池田晶子 印
記
第1 2016年9月23日付原告準備書面は、当方2016年7月11日付、8月28日付準備書面に対する反論とあるが、特に新しい論点はなく、すべて、既出の準備書面、証拠で反論済みであるが、それでは不親切なので、冗長を承知で今一度反論する。
第2 原告2016年9月23日付準備書面第1(2)において、「被告は納品時に傷がついていたとの主張を維持するとしているが」甲5号証をもって「これは明らかに誤っている」とあるが、甲5号証は商品の一つに傷がついていたとの証拠に過ぎず、まず目についた傷について連絡したからと言って他に傷はないとするのは短絡に過ぎる。被告は乙9号証、乙10号証において傷は開梱時にすでについていたことの証拠を挙げている。これに対し、原告の具体的反論は本日現在提出されていない。また、被告2016年7月11日準備書面において具体的に乙5号~8号証を提出し、原告作業場内でついたとしか考えられない傷について論じている。特に鳥羽作品については、原告の反論の余地がないほど決定的であり、反論の余地がなかったため閑却したものと受け取る。ちなみに、鳥羽作品は「美術梱包」の問題ではない。
第3 原告2016年9月23日付準備書面第1(2)において「本件のような商取引においては、品物を開梱するときが一番大事であって」とする原告の陳述については、「一番」であるかどうかについて議論の余地はあるものの、特段異論はない。「開梱して数日経過したとき」に本格検収を行ったことを問題としているが、石川県柳田星の観察館「満天星」学芸員宇佐美氏が開梱を開始し、個別梱包内の作品の一つに傷が見つかったことで開梱作業を中止し、被告の到着を待って開梱、検収を実施することにした事情については7月11日付被告準備書面ですでに述べたとおりである。
第4 本件は、原告の認識する「検収」と被告の認識する「検収」の違いが問題となっていると考えられるが、被告9人は業種も会社の規模も違う複数企業の経験を持ち、その経験のいずれにおいても原告の認識しているほど厳しい「検収」基準を設けているところを知らないことは9月15日付被告準備書面にて論じたとおりである。原告は自身の検収基準をいかにも世間一般のもののように論じているが、それは認識違いである。
第5 参考までに、原告が写真パネルを製作、展示会場での設営までを請け負った別件写真展に被告は直接立ち会った経験があるが、納入時点で被告が本件でついたと主張している傷と同種の傷のついたパネルが全作品の約1/5あった。うち数点はかなり目立つもので、指摘すると作業員は修復のため工場に持ち帰った。「修理して」戻されたものは本件と同じく、表面の色が変わっていた。また、ひっかき傷のあったものについては、展示会後にクリスタルプリント、アルポリック仕上げのすべてをやり直して作者に送った。このように、原告自身、顧客によっては柔軟な対応をすることもあり、必ずしも本件で争っている状況がすべてであるとはいえない。
では、なぜ、この展示会で問題にならなかったのかというと、原告作業員がトラブルに誠実に対応したことと、依頼者が問題を大きくしたくなかったからであり、原告にとって、注文したとおりの商品の納入を求める被告は異例の依頼者であったのかもしれない。
第6 原告2016年9月23日付準備書面第2(1)において被告8月28日付準備書面について全面的に否認し争うとしている件について、原告は被告の主張を否認するとしつつ、具体的にどこをどう否認するかについて記述がない。「事実を意図的に曲げて」とは、どの「事実」をどういう意図を持って曲げたのか、具体的な説明を求める。
原告は箱の中に5mmしか余裕がないから作品が動くはずがないとしているが、これは説明になっていない。何となれば、5mmといえども、箱の中で作品が動けば、傷のつく余地があるからで、そもそも、実際の隙間を本日改めて計測してみたところ隙間は5mmから8mmと幅がある。被告は原告の言うように「推論」を提示しているわけではなく、実際に箱の中で作品は動くという事実をもとに論じている。現に乙11号証で示した同業他社は箱の中で作品が一切動かないように作品に直接角あてを施し、作品を幾重にも保護している。原告はこの工程を怠った上、これを「美術梱包」と称しているが、これは不面目であろう。
乙11号証にて示した原告と同業他社の梱包の差違は明らかである。同業他社は乙11号証の梱包を「美術梱包」とは言っていないことからも、原告の梱包は「美術梱包」といえるものではない。被告の認識が誤っているというのなら、美術梱包の資格を持った専門家に見せて意見を伺ってはいかがだろうか。
第7 何度も繰り返して申し訳ないが、本件、梱包だけが問題なのではない。梱包のみが論点であるかのように原告は論じているが、たとえば、鳥羽作品についた文字(乙7号証)について原告は具体的論理的反論ができていない。原告の主張するとおり、原告に一切の落ち度がないのであれば、本件について釈明できるはずである。乙4号証にて原告作業員澤田氏が2015年9月17日付池田宛メールで被告が付けた文字痕だろうと言っているが、これは事実とは異なる。被告側でつけたものであれば、「鳥羽聖朋」と正しく書くはずで、「鳥羽聖明」と乙7号証の請求書と一致する誤字は、とりもなおさず原告側が付けたことの証拠となる。
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提出した書類は答弁書、準備書面5件、証拠説明書2件、証拠11件、出廷回数5回。
9人が知恵を出し合って書類を作成し、論理的に反論し、「満天星」の学芸員にも証言してもらったが、2016年10月26日付の判決は敗訴。傷がフレームマンでついたものであると証明するには証拠が不十分であるとのことだ。
正直言ってこれ以上の証拠を提出することはできない。そもそも業者を信用した上での取引だったため、開梱時にビデオテープなどで詳細を記録していない。実際、そこまでして開梱しているケースをわたしは知らない。
裁判では傷は業者でついたものであることを立証する責任は被告である当方にあると言われたが、傷の写真、開梱状況、学芸員の証言、梱包の状況等を説明しても証拠として不十分となれば、立証は実質的に不可能となり、業者はやりたい放題ということになる。
開梱時にビデオを撮っていても、この調子では証拠不十分といわれるかもしれない。
となると、注文した側は泣き寝入りするしかないことになる。
一体このような理不尽がまかり通るのが写真業界なのだろうか。
割り切れない事件である。
*星景写真巡回展はこれからも続き、次回の開催は12月から1月いっぱい、倉敷科学センターです。
2016年11月02日 01:55