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アフリカ3カ国が脱退 「標的」に反発

国際刑事裁判所の捜査

 【ヨハネスブルク小泉大士】今月に入り、アフリカ3カ国が国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)からの脱退を相次いで表明し、国際社会に波紋を広げている。背景には「ICCはアフリカ人ばかり標的にしている」との根深い反発があり、今後もアフリカから後を追う国が出かねない。離脱続出となれば、ICCの威信低下につながる恐れもはらんでいる。

     ICCは大量虐殺や人道に対する罪を犯した個人を裁く法廷で、設立条約が1998年に採択され、2002年に発効。日本を含む124カ国が加盟し、脱退したケースはない。これまで10件の正式な捜査や訴追が行われ、うち9件はアフリカ諸国が対象。進行中の裁判3件もアフリカの元指導者らが被告となっている。

     脱退表明の最初はアフリカ中部ブルンジ。ヌクルンジザ大統領が今月18日、反大統領派の弾圧を巡る国連の調査に反発し、ICC脱退を定めた法案に署名した。続いてアフリカ最大の経済規模を誇る地域大国・南アフリカが21日、ICC離脱の手続きを始めたと発表。25日には、西アフリカのガンビアも離脱を表明した。

     「(国家首脳の)不逮捕特権を定めた国内の法律と相いれない」。南アフリカのマスサ法相は記者団に、離脱の理由をこう説明した。南アは昨年6月、ICCから逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領が入国した際、身柄を拘束せず「独裁者をかくまった」と国際的に批判を浴びた。

     ガンビアのボジャン情報相は、イラク戦争開戦を決断しながら訴追されていないブレア元英首相を名指し、ICCは欧米の戦争犯罪を見逃し、「アフリカの人々を迫害し屈辱を与える」ために政治利用されてきた機関だと主張した。

     離脱が続けばICCの権威を傷つけるだけに、国連の潘基文事務総長は「南アが(通知の1年後と定められている)離脱の発効までに再考することを望む」との声明を出した。

     ICCがアフリカを「狙い撃ち」しているという批判について南アのアンジェラ・ムドゥクティ弁護士(国際刑事法)は、捜査対象10件のうち5件は「自国がICCに付託したもので、事実に反する」と指摘。一方、故マンデラ元大統領の下で自由と人権を推進した南アの離脱が及ぼす影響を懸念し、ICC脱退をちらつかせてきたケニアやナミビア、ウガンダなどが「同調する可能性がある」とも述べた。

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