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 衆院憲法審査会は17日、1年5カ月ぶりに実質審議を再開した。7月の参院選後、「改憲勢力」が衆参両院で3分の2を占め、国民投票を行うための前提となる国会発議が可能な態勢となって初めての実質審議となる。自民党の中谷元氏は、「憲法制定過程においてGHQ(連合国軍総司令部)が関与したことは否定できない事実」と指摘しつつ、「日本国憲法の基本原理は国民の間に定着している」と述べた。「自主憲法制定」の「党是」を前面には打ち出さず、国民の合意形成を目指す姿勢を強調した。

 実質審議は、憲法学者3人が安全保障関連法を「憲法違反」と批判した2015年6月以来。この日は6会派が、「憲法制定経緯と憲法公布70年を振り返って」のテーマで自由討議を行った。

 中谷氏は「復古的」との批判が強い2012年作成の党の改憲草案について「(党の)公式文書」としながら、「(審査会で)どのテーマを議論していくかは現段階は白紙」と説明。同党の後藤田正純氏は「まず今までの憲法は日本になじみ、素晴らしいものであることをぜひ共有したい。その後に理想的な憲法をつくる」と述べた。公明党の北側一雄氏は「日本国憲法は70年、国民に広く浸透し支持されてきた。押しつけ憲法という主張自体、いまや意味がない」としたうえで、「加憲」方式で議論を進めることを主張した。

 日本維新の会の足立康史氏は「課題解決型の憲法論議を進める必要がある」と述べ、国と地方の関係を見直す統治機構改革などの改憲の必要性を訴えた。

 一方、民進党の武正公一氏は、憲法9条の解釈変更を経て昨年成立した安全保障関連法や自民党の改憲草案の問題点を指摘。「立憲主義が揺らいだ今こそ、議論を深めるための共通の土俵作りが必要だ」と訴えた。共産党の赤嶺政賢氏は「国民の多数は改憲を求めておらず、審査会を動かすべきではない」。社民党の照屋寛徳氏は「改憲という名の憲法破壊は平和の破壊であり、個人の破壊だ」と述べた。

 憲法審査会は国民投票法に基づき、07年に衆参両院に設置。憲法や憲法に密接に関係する法制度について議論する国会の機関で、憲法改正原案が提出されれば、その審査を行い、採決する。ただし、与野党の憲法改正に対する考え方の隔たりは大きく、改憲項目の絞り込みといった具体的な改正手続きは来年以降に先送りされる見通しだ。