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【社会】

虐待死家庭の7割が地域で孤立 「親、責められると警戒」

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 二〇一四年度に虐待を受けて死亡した十八歳未満の子ども四十四人のうち、詳しい状況が確認できた二十九家庭の七割以上が、近隣住民とのつきあいがほとんどないなど地域で孤立していたことが、厚生労働省専門委員会のまとめで分かった。現在の方法で集計を始めた〇四年一月から一五年三月までの累計でも、同様のケースが三百二十家庭(一四年度分含む)の約七割を占め、家庭の孤立が虐待の背景にある状況が改めて浮き彫りになった。

 自治体は乳児のいる家庭の訪問などを実施しているが、専門家は「自分が責められるのではないかと警戒して自治体との関わりも避ける親がいる。各家庭が個別に抱える問題に寄り添う継続的な援助が必要だ」と指摘している。

 専門委によると、無理心中を除き一四年度に虐待を受けて死亡した子どもは四十四人。きょうだいのケースが一事例あるため四十三家庭の状況を、自治体を通じて確認した。うち二十九家庭については、主に当事者や同居家族への聞き取りで、地域社会との接触状況を把握できた。

 その結果、地域との関わりが「ほとんどない」家庭は十一(37・9%)で、「乏しい」とした十家庭(34・5%)と合わせて72・4%を占めた。「普通」は七家庭(24・1%)、「活発」は一家庭だけだった。

 こうした傾向は〇四年以降の累計でも同様で、地域との接触状況が分かった三百二十家庭のうち、関わりが「ほとんどない」は百三十五家庭(42・2%)、「乏しい」が九十二家庭(28・8%)で計70・9%に上っている。

 一方、一四年度の四十三家庭で、行政機関などによる子育て支援事業の利用がなかったのは二十四家庭(55・8%)で、利用があったのは十七家庭(39・5%)。

 利用があった家庭に最も利用した事業を複数回答で聞いた結果、保健師らが赤ちゃんのいる家庭を訪ねる「乳児家庭全戸訪問事業」や「保育所入所」が目立った。

 

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