11月17日 14時34分
天皇皇后両陛下は、戦時中などに、旧満州・今の中国東北部に渡った「満蒙開拓団」の歴史を伝える長野県の施設を訪れ、体験を語り継いでいるお年寄りたちと懇談されました。
16日から長野県を訪れている両陛下は、17日午前、阿智村にある「満蒙開拓平和記念館」に到着されました。
「満蒙開拓団」は、戦時中などに、旧満州で農地を開拓するため国の政策によっておよそ27万人が移住し、そのうち8万人が戦中戦後の混乱の中で死亡したと言われています。
長野県からは、全国で最も多い3万3000人近くが旧満州に渡っていて、両陛下は、以前からこの施設への訪問を望んでいたということで、開拓団の苦難の歴史を伝える写真や資料を熱心にご覧になっていました。
続いて両陛下は、施設で体験を語り継いでいるお年寄りたちと懇談されました。
戦後の旧満州で生後まもない長男を栄養失調で亡くした92歳の女性や、開拓団で集団自決が起き、70人近くが命を落とす中で生き延びたという86歳の男性などが体験を語ると、天皇陛下は「そういうことを経て今の日本がつくられたんですね。どうぞ、これからもお元気で経験を伝えていって下さい」と話されていました。
また、皇后さまは「こうして伝えて下さってありがとうございます。
苦しみによく耐えて下さいましたね」と話されていました。
旧満州で生後間もない長男を亡くし、終戦の翌年に帰国した桜井こうさん(92)は「両陛下が、ここまで開拓団のことを思って下さっていたことに涙が出るようで、胸が晴れる思いでした」と話していました。
14歳で家族と離れて満州に渡り、開拓団が集団自決する中で生き延びた久保田諫さん(86)は「お忙しい中、よくぞここまで来て頂いたとうれしく思いました。多くの人に開拓団の歴史を知ってもらいたい」と話していました。
少年で組織された「義勇軍」の一員として旧満州に渡り、ソビエト軍の捕虜となった体験などを語った湯澤政一さん(86)は「限られた時間でしたが、両陛下ともお会いでき、健康を気遣って頂きうれしかったです」と話していました。
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