川口佑
現在大学との共同研究で、磁気刺激(TMS)を左右の前頭葉に与えつつ、光トポグラフィーを用いて刺激前後の前頭葉血流の変化をモニタリングする研究を行っております(被験者の募集は現在行っておりません。)

磁気刺激(TMS)は、うつ病の治療において一般的に左右の背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや、DLPFC)と言われる数㎝大のエリアに対し照射します。

照射は3分程度ですが、このときポケットNIRSと呼ばれる簡易な光トポグラフィーのパッドを額に貼り、血流変化をとらえながら行います。

光トポグラフィー
「右」の前頭前野に磁気刺激(TMS)を当てれば、当然「右」の前頭前野の血流が上がると誰もが思うでしょう。

しかし、実はそう簡単な話ではありません。

磁気刺激照射前の安静、磁気照射中、照射後と血流の推移を見てみましょう。

上段が右、下段が左です。赤い線の動きをみてください。

光トポグラフィー
上段(右)の血流も上がっていますが、それ以上に下段(左)の前頭前野の血流の方が上がっているではありませんか。

そう、脳はネットワークを構成しているため、右にあてたから右がとか、左にあてたから左がというわけではありません。

今回は前頭前野だけの話ですが、脳全体でみれば実は頭頂部などの他の部位でも変化が見られているのです(これの測定にはfunctional MRIという特殊な機械が必要です)。

最後に、この被験者の第一例は私(川口佑)本人が行いました。