普天間基地 騒音訴訟 国に24億円余の賠償命じる

普天間基地 騒音訴訟 国に24億円余の賠償命じる
沖縄のアメリカ軍普天間基地の騒音をめぐり、周辺の住民およそ3400人が国を訴えた裁判で、那覇地方裁判所沖縄支部は「違法な騒音被害が漫然と放置されている」として、国に対し24億円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。一方、アメリカ軍の軍用機の騒音を止めるよう求めた訴えなどは認めませんでした。
沖縄県宜野湾市のアメリカ軍普天間基地の周辺で暮らす住民およそ3400人は、アメリカ軍の軍用機の騒音により十分な睡眠がとれず、健康被害を受けているなどとして、国に対し、騒音を止めることや賠償などを求める訴えを起こしました。4年余りにわたる裁判で、国は、睡眠妨害などの被害は具体的に立証されていないなどとして争っていました。

17日の判決で、那覇地方裁判所沖縄支部の藤倉徹也裁判長は「昭和40年代半ばには基地周辺の騒音による影響が社会的問題になっていたにもかかわらず、今日(こんにち)に至るまで抜本的な防止策がとられず、周辺住民が被害にさらされている。違法な騒音被害が漫然と放置されている」と指摘し、国に対し、合わせて24億5800万円の賠償を命じました。

一方で、裁判所は「日米安保条約などによれば、国はアメリカ軍の軍用機の運航を規制する立場にない」として、騒音を止めるよう求めた訴えなどは認めませんでした。

住民の弁護団長を務める新垣勉弁護士は、賠償が認められたことについて、「深刻で複合的な被害が発生していることを裁判所は指摘した」として評価したうえで、アメリカ軍の軍用機による騒音を止めるよう求めた訴えが認められなかったことについては、「違法な爆音が存在することを認めながら、正面から判断することを回避した判決で怒りを感じる」と話していました。

官房長官「国の主張の理解得られなかった」

菅官房長官は午前の記者会見で、「国の主張について、裁判所の十分な理解が得られなかったと承知している。今後の取り扱いは、関係省庁で調整したうえで適切に対応していく」と述べました。

そのうえで菅官房長官は、記者団がアメリカ軍普天間基地の移設の必要性について改めて質問したのに対し、「普天間基地の名護市辺野古への移設は、沖縄県の仲井真前知事による埋め立て承認を受けて取り組んでいて、抑止力の維持と、世界でいちばん危険と言われる普天間基地の危険除去を考えたときに、唯一の解決策であることについては全く変わりない」と述べました。