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【政治】

自民「改憲は議員の責務」 慎重・反対「憲法理念の実現こそ」

◆参院憲法審が再開

 参院憲法審査会は十六日、八会派による意見表明と自由討議を行った。七月の参院選の結果、改憲に前向きな勢力が衆参両院で三分の二以上の議席を確保して以降、衆参両院の憲法審で実質的な議論が行われるのは初めて。自民党など改憲に前向きな会派が改憲の必要性を訴えたのに対し、改憲に慎重な会派は、安倍政権の政策が、憲法で国家権力を縛る立憲主義に反しているとして議論を求めた。 (清水俊介、我那覇圭)

 参院憲法審で実質的な審議が行われるのは今年二月以来。議題は「憲法に対する考え方」で、八会派が七分間ずつ意見表明した後、延べ二十三人の委員が自由討議を行った。

 改憲を積極的に訴えるか、理解を示したのは自民、公明、維新、無所属クラブ、日本のこころの計五会派。自衛隊の存在を憲法に明記することや緊急事態条項の新設、参院の選挙制度を都道府県単位にする改憲を求める意見が目立った。

 このうち自民の中川雅治氏は「国民は、今の憲法では家族や国家を守れないと考え始めている。民意に応えることこそ国会議員の責務」と指摘。「自主的な憲法改正は国政の重要課題」と訴え、同党の改憲草案について「バージョンアップしていく必要がある」との考えも示した。

 維新の浅田均氏は、統治機構改革など「国民が身近で切実に感じている問題」での改憲を求め、各会派に改憲原案を持ち寄るよう呼び掛けた。公明の西田実仁氏は現行憲法を評価しつつ、新たな条文を加える「加憲」の立場を説明した。

 一方、改憲に慎重・反対の立場の会派は、改憲論議より、現実を憲法の理念に近づける議論を要請。安保法や南スーダンの国連平和維持活動(PKO)での駆け付け警護任務付与などを問題視した。

 民進党の白真勲氏は「安保法を放置しての改憲論議は絶対許されない。憲法違反や立憲主義の在り方を調査する委員会でなければならない」と強調。自由、社民両党の会派・希望の会の福島瑞穂氏(社民)は「国会は憲法価値の実現こそやるべきだ」と訴えた。

 共産党の山添拓氏は、憲法審での議論が改憲につながることを懸念した。

 衆院憲法審も十七日、実質的な議論を再開する。

 <参院憲法審査会> 憲法に関する総合的な調査や改憲原案の審査を行う参院の機関で、委員は45人。会派の所属議員数に応じて委員を割り当てる。自民党23人、民進党・新緑風会9人、公明党5人、共産党3人、日本維新の会2人、希望の会(自由党・社民党)、無所属クラブ、日本のこころは各1人。審査会長は自民の柳本卓治氏、会長代理は民進の白真勲氏。

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