モスル奪還作戦1か月 住民の犠牲者増加の懸念

モスル奪還作戦1か月 住民の犠牲者増加の懸念
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過激派組織IS=イスラミックステートからイラク第2の都市モスルを奪還する作戦が始まって1か月となりました。イラク軍が市内に入ってからは戦闘に巻き込まれる住民の数が増えていて、今後中心部での戦闘が本格化すれば犠牲がさらに増えることが懸念されています。
イラク軍やクルド人部隊は、アメリカ主導の有志連合の支援を受けて、先月17日から、ISが2年余り支配しているイラク最大の拠点モスルの奪還作戦を続けています。

今月からはイラク軍が市内に部隊を進め、イラク政府によりますと軍はこれまでに、市を二分するチグリス川の東側の地区のうち、およそ3分の1を制圧したということです。ただ、地区を制圧したあとも戦闘員が潜んでいないかや爆弾が仕掛けられていないかなどを慎重に確認する必要があり、部隊を進める速度はこれまでよりも遅くなっています。

一方、ISは住民を利用した「人間の盾」や自爆攻撃などで激しく抵抗していて、イラク軍の野戦病院の責任者はNHKの取材に対し、「人口が多い市内で戦闘が始まってからは、兵士よりも住民のけが人や犠牲者が増えている」と話しています。

劣勢に立たされているISは、今後さらに抵抗を激化させるものとみられ、今後、中心部での戦闘が本格化すれば、住民の犠牲がさらに増えることが懸念されています。

モスルの一部地区に支援物資

過激派組織IS=イスラミックステートからイラク第2の都市モスルを奪還する作戦で、イラク軍が制圧した市内の一部の地区では住民への物資の支援が始まりました。

ユニセフ=国連児童基金は今月13日、ISがモスルを支配して以来、およそ2年ぶりに市内に入り、住民に支援物資を届けたことを明らかにしました。
支援物資は食料や浄水剤、それにおむつなどで子ども1万5000人を含む合わせて3万人分が運ばれたということです。

また同じ13日にはWFP=世界食糧計画も、この地区の2万5000人分の米や小麦粉などの食糧を届けたということです。

一方、WFPでは現在、250万人分の食糧を用意しているものの、ISの支配が続く地域に取り残されている人たちについては支援物資を届けるめどが立っていないということです。