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'18年の4K/8K実用放送開始へ、HDRや高効率な映像制作が本格化。MMT多重化も
2016年11月16日 21:47
幕張メッセで16日~18日まで開催されている「Inter BEE 2016」において、各所で見かける言葉が「4K/8K」や「HDR」。'18年の4K/8K実用放送開始に向けて、高画質かつ高効率なソリューションなど、より現実に即した提案が各社から行なわれている。
ブースの中から、東芝やJVCケンウッド、アストロデザイン、グラスバレーなどの出展内容をレポートする。
JVCケンウッド
販売中の4K Super 35mmセンサー搭載4Kカメラレコーダ「GY-LS300CH」を、4K/60p外部出力に対応するファームウェアアップデートを実施することを案内。滑らかな60フレームの映像で外部レコーダへ記録でき、「ATOMOSのモニタ一体型4Kレコーダ『SHOGUN INFERNO』ともベストマッチ」としている。SHOGUN INFERNOのRECトリガーからのコントロールにも対応している。
また、テレビ松本ケーブルビジョンが行なった槍ヶ岳からの4K生中継に、JVCの4K Super35mmセンサー搭載カメラが採用されたことを紹介。'16年から始まった「山の日」を記念したもので、標高3,180mの山荘に設置された4Kリモートカメラから、約34km離れたテレビ松本本社までIP接続して、ダウンコンバートされた2K映像がインターネットでも9月末まで配信された。
東芝
HDR入力に対応した液晶テレビ「REGZA」を使って、スカパーJSATや、ひかりTVによるHLG(Hybrid Log Gamma)のHDR映像を表示するデモを行なっている。現時点では唯一のHLG対応テレビであり、プロユースにも応えられるHDRをマニュアル設定が可能。さらに、展示会などで使用できる機能として、HDRのマニュアル設定値を記憶する「ラストモードメモリー」に対応する点も紹介している。
また、今後発売予定の4K/8K送出設備向け製品も展示。'18年の4K/8K放送で採用されるMMT多重化のためのスクランブラや、デスクランブラなどを展示している。なお、評価用に「MMT対応受信機」も展示されていたが、この受信機は製品化が決まったものではなく、今回の展示のために同社のテレビ部隊と協力して試作したものだという。
アストロデザイン
いち早く8K編集ワークフローを提案しているのがアストロデザイン。8K対応のカメラやレコーダ、ディスプレイなどが揃っており、10月に発売したSSDレコーダ新モデルの「HR-7518」(HR-7518-A)では、グラスバレーのHQXコーデックを採用したことで従来の非圧縮レコーダに比べてファイルが約1/8という大幅な効率運用を可能にしている。
HR-7518は現在USB 3.0接続だが、'17年3月に10Gigabit Ethernetにも対応予定で、8K映像を、より快適に編集可能になるという。
4Kコンバータボード「SB-4024」(12月発売、120万円前後)は、HDと4Kの解像度、BT.709とBT.2020の色域、SDRとHDRの相互変換が自由に行なえるのが特徴。ソニーのシグナルプロセッシングユニット「NXL-FR318」に最大9枚搭載できる。
グラスバレー
幕張メッセ近隣のホテルでプライベート展示を行なっており、ノンリニアビデオ編集ソフト「EDIUS 8」の最新版となる「Version 8.3」などを展示。11月16日より無償提供されており、新機能の「オプティカルフロー技術」による高品質なスローモーション対応や、様々なプロジェクト設定から、DVDやBlu-rayへオーサリングする機能などが追加。また、プロキシファイルのサイズ設定は従来SD画質だったが、新たに標準サイズを960×540ドットとし、大きなサイズの1,920×1,080ドットと、従来のSDサイズも選択できるようにしている。
カメラは、ネイティブ4K/3G/HDと、ハイスピードに対応した「LDX 86mN」シリーズ」などを展示。4KやHD、HD 3倍速/6倍速などの切り替えが可能で、HD記録時はカメラの画素4つを1つ分として記録することによって、より多くの光を取り入れた明るい記録ができる点などが特徴。ネイティブHD対応は12月、ハイスピードへの対応は'17年4月を予定している。