米大統領選で当選したドナルド・トランプ氏は1998年と99年に韓国を訪れ、長男でトランプ・グループ首席副会長のトランプ・ジュニア氏も韓国を4回訪れたことがあるという。いずれも不動産投資が目的だった。しかし、外交・安全保障分野では韓国との縁は薄い。トランプ陣営は外交・安全保障分野の人材が限られており、知韓派と呼べる人物も少ない。「トランプ人脈」と呼べる韓国人もほとんどいないのが現状だ。韓国外交部(省に相当)は大統領候補時代からトランプ氏につながる国内の人脈を調べたが、直接親しい関係の人物は見つからなかったとされる。
現在トランプ陣営で外交・安全保障分野で最も有力な知韓派はヘリテージ財団のエドウィン・フュルナー元理事長だ。フュルナー氏は100回余りにわたり韓国との間を行き来し、政官界、マスコミと広い人脈がある。2002年には韓米友好増進に貢献したとして、韓国政府から修交勲章の「光化章」を受章した。このほか、韓国政府はトランプ陣営で外交・安全保障分野の座長を務めるジェフ・セッションズ上院議員(アラバマ州選出)、共和党の外交・軍事分野の実力者、ジョン・マケイン上位議員(アリゾナ州選出)らと接触しているもようだ。ウォール・ストリート・ジャーナルがトランプ陣営で外交・安全保障分野の政権引き継ぎ委員として有力視している外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長とも接触したという。
トランプ陣営の安全保障顧問役のチャールズ・キュービック予備役海軍少将は2003年、イラクで韓国の工兵部隊である「徐熙部隊」を指揮した。
トランプ氏が外交・安全保障チームを組む上では、選対には直接加わらなかった共和党人脈を活用せざるを得ないとの見方が支配的だ。アジア太平洋政策関連では、米戦略国際問題研究所(CSIS)の韓国専門家、ビクター・チャ氏、ヘリテージ財団アジア研究所のウォルター・ローマン所長、チェイニー前副大統領の外交・安全保障政策担当補佐官を務めたスティーブン・イェーツ氏などの起用が取り沙汰されている。