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高電圧回路
- ネット上では、高電圧回路を使うことが一般的です。危険ですが一通り解説したいと思います。
- 決してお勧めできません。そのため、具体的な部品名の説明はいたしません。
- 基本に忠実に勉強してきた人にとっては無意味なページです。読み飛ばしてください。
- 高電圧の回路を使うと、実は高度な知識が必要になります。実際は、低電圧回路を使い、しかも多段にする方がずっと簡単なのです。
ONだけのスイッチを採用している 機械的スイッチの場合
- この図は、基本回路。コンデンサーは高電圧で充電されていて、スイッチがONになると、大電流が流れるイメージです。
- 普通は「非振動型」の電流波形になることが多いのですが、まずコイルとコンデンサーで、振動的な波形ができる場合を考えてみましょう。
- スイッチが切られるタイミングによっては、電解コンデンサに逆向きの電圧がかかった状態のままになってしまうことがあります。
- そこで、ダイオードを追加しました。左側のダイオードは、逆向きに充電された電荷を放電させるためのもの。直列につながっている抵抗とコンデンサーで、数秒から数十秒程度の時定数になるようにします。
- また、スイッチを切った時の誘導起電力で、スイッチやコイルを痛めてしまうことを防ぐためのフライホイールダイオードが右側のものです。コイルに流れる電流の最大値に配慮した定格のものが必要です。スイッチを切らないようなオペレーションでもこのダイオードは必要です。スイッチは、接点が弾むことがあり、そのとき接点間にアーク放電が発生してしまうのを防ぐことが必要だからです。スパークギャップスイッチなどスイッチの抵抗が変動するものでは省略すると、いつまでも電流が流れつづけることがあり得ます。
- どちらのダイオードも、電源電圧と同じ電圧がかかることがあるので必要な耐圧は、ずばり電源電圧。
- ところで、振動型の電流の場合、逆向きの電流が流れていた時にスイッチが切れたら、フライホイールダイオードは役に立ちません。
- そこでサージ吸収素子「バリスタ」などをフライホイールダイオードの代わりに使うことがあります。このバリスタには、大変大きなエネルギー損失を受け持たせることになるため、大型のバリスタを「消耗品」として煩雑に取り換えることになります。
- あるいは次のように逆向きに電流が流れないようにする方法もあります。
- サイリスタはダイオードの性質を併せ持ったスイッチとしてこの図と同じように働きます。
急激に電流を減らす方法(放電ギャップ)
- コイルガンの場合、弾丸がコイルの中央を過ぎたら、急速にコイルに流れる電流を減衰させなくてはなりません。機械的スイッチ、放電ギャップスイッチ、サイリスタでは簡単ではありません。
- スパークギャップスイッチを、ブルムラインなどの遅延線路の先端にもう一つ追加することで、比較的早く電流を減少させることができます。遅延線路は、平行線、平行板などで作ることもできますが、ほとんど光の速さで進行するので、極めて大きな装置になってしまいます。そのため、コイルとコンデンサーを組み合わせた遅延線路を作ることになります。
- コイルにかかる高電圧が先端に伝わった時、先端のスパークギャップがONになり、今度は、ほとんどゼロボルトが左方向に進行し、コイルに到達すると、コイルをショートしたのとよく似た状態になります。
- また、スパークギャップスイッチを素早く制御できるなら、上図のようなアイディアもあります。制御回路から、まず下のスイッチをONにするトリガーが与えられ、適切なタイミングで上のスイッチをONにします。
- このスパークギャップスイッチは、トリガー電極を持つものや、ギャップ間に強いレーザー光を照射するものなど、いろいろなことが考えられます。手動では困難なので、制御方法の工夫が必要です。
- サイリスタでこれを行うと、サイリスタの最大電流をとてつもなく大きなものにすることが必要です。
- FETや、IGBTを使う場合と異なり、コイルにかかる電圧をゼロにするだけの動作です。ですから、これほど大げさにしても、FETでOFFにする場合に比べ、さほど急減ではないのです。
サイリスタをスイッチとして使う。
- スイッチとしてサイリスタを使った回路の原型です。
- サイリスタにも種類がありますが、双方向などは使えません。一番単純なサイリスタにします。
- トリガ(引き金という意味。図ではON)信号を加えると、電流が流れます。
- 単純なサイリスタの場合には振動型の電流は、逆方向には流れず阻止されます。双方向サイリスタやトライアックを使うと逆方向にも流れてしまいます。
- 電流波形が振動型になった場合、機械的スイッチの場合と同じように、逆に充電されたコンデンサーの電荷を放電してしまう回路が必要になります。
非振動型の場合は?
- 非振動型では、ブレーキによって十分な加速が得られません。
確実に振動型を得る方法
- Cを小さくする。弾丸が離れた位置で電流のカーブが終わってしまう可能性があります。またエネルギーも小さくなります。そのため、コイルの抵抗に対して非常識なレベルの高電圧を掛けてしまうことになります。
- 外部ヨークを使う方法もあります。閉じた磁力線のタイプで示したような断面図にし、やや長めの弾丸を使用し、その先端をコイルの中に入れる程度の初期の位置にすると、インダクタンスが大きくなり、振動型を得る事ができます。
電流波形を気にしない方法 (玉突きを利用)
- 閉じた磁力線のタイプのページで解説した「玉突き」を利用すると、ブレーキがかかることを全く気にしなくてよくなります。
- つまり、どのような電流波形でも高効率が得られます。
- この場合、次の回路を使うと、コンデンサーを逆向きに充電するエネルギーを費やすことを避けられます。
- 先ほどの回路とほんの少し違うだけのように見えますが、ダイオードは、コイルに流れた電流の最大値を流し続けられるものでなくてはなりません。
- 電流の波形は、振動型のピークから漸減するものになります。
高電圧の電源
- 高電圧の電源は、抵抗を通して電解コンデンサーにためられます。抵抗を大きくすれは、時間がかかりますが、微小電流で、充電できます。
- 400V1000μFのケミコンに1MΩを介して、400Vの電源から充電することを考えてみましょう。時定数は、1MΩと1000μFの掛け算で、1000秒。1時間の充電なら、ほぼ400Vに近い値になります。計算してみてください。電流は、400V/1MΩなので、0.4ミリアンペア。大したことはありません。電池から昇圧する回路の設計も専用ICで簡単にできるレベル。抵抗の発熱は、一番大きなときで、0.16W
- 何故か、ハイパワーの電源が必要だと誤解している方がいます。危険ですので、ぜひ計算しなおしてみてください。
- 「高電圧昇圧DC-DC」や「高電圧直流電源」で検索すると市販品やキット製品もヒットします。「冷陰極放電管用電源」でも良いでしょう。
- HV9150というICを使うと、高効率で500Vまで発生させることができます。
- コンデンサー充電器の製作 というページには、入手しやすい電子部品で簡単に作れる回路が紹介されています。
高電圧タイプの回路設計例
- 単発の大電力を供給して、大きなエネルギーを得るという今流行の危ない加速方法を検討しましょう。
- 必要な磁場から計算すると、とてつもなく大きなエネルギーが必要になりますので、秋月で入手できる程度の大電力素子を使うことを前提に考えてみましょう。
- 450Vを掛けたとき300Aが流れるコイルを作る。
- そのコイルのインダクタンスを求める。
- 共振型の電流波形が得られるコンデンサー容量の範囲を求める。
- その範囲での最大容量で、どの程度の電流持続時間かを確認する。
という手順で進めます。
- まず、コイルとして、長さ24ミリ 内径 10ミリ 外径18ミリ 線径0.5ミリで8層巻いたものを用意します。1層ごとに、エポキシ接着剤でしっかり固めてください。
- そのため、AではなくBのように、上下ずらさずに384回巻くことになります。
- コイルの抵抗は、1.52Ω。中心の磁束密度は、6テスラ弱。けっこう強力です。
- インダクタンスは、「コイルのインダクタンス」サイトで計算しました。
- (弾丸が離れているところでの計算ですから、比透磁率=1で計算しました。)
- 943μHになりました。
- C < 4L/R^2が、振動型の波形になるための条件ですから、それでCを求めると1633μF以下となりました。
- このCの値を使って、半波の電流波形の時間を計算してみました。
- 2*π*√(L*C) です。7.8ミリ秒となりました。最初の弾丸の位置の調整が微妙ですね。下図の赤い印は、弱い永久磁石。左右に動かして弾丸の初期位置を調整できます。
- ここから先の計算は、難解になるので省略しますが、供給されたエネルギーの割に低い性能です。