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【大相撲】

横綱白鵬が史上3人目の通算1000勝達成 「優勝したような気分」

2016年11月16日 紙面から

通算1000勝を達成し、花道で花束を贈られ、笑顔を見せる白鵬(七森祐也撮影)=福岡国際センターで

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◇九州場所<3日目>

(15日・福岡国際センター)

 横綱白鵬(31)=宮城野=が結びで魁聖(29)=友綱=を豪快な左上手投げで下して3連勝とし、史上3人目の通算1000勝を果たした。31歳での達成は千代の富士の34歳、魁皇の37歳を大幅に上回る若さ。年間最多の86勝を2度マークするなど強さを誇り、初土俵から16年目でのスピード到達だった。綱とりに挑む大関豪栄道(30)=境川=は嘉風(34)=尾車=を突き落として3連勝。大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=は遠藤(26)=追手風=に押し出されて初黒星を喫した。遠藤は2日連続の大関撃破。

 両手に抱えきれないほどの花束を手に、白鵬が花道を引き揚げる。史上3人目の通算1000勝は、白鵬らしい豪快な上手投げ。満員御礼ではなかったが、館内はその何倍にも感じる大歓声と温かい拍手に包まれた。

 千代の富士が史上初の1000勝を達成したときと同じ光景。それをビデオで何度も見ていた白鵬は「最高です。まさか自分が。こんなのなかったからね。優勝したような気分です」。長女の愛美羽ちゃん(9)と長男の真羽人君(8)もお出迎えしてくれた。「来ているのを知らなかった。サプライズだね」と頬を緩めた。

 東序ノ口16枚目に初めて白鵬というしこ名が載ったのが2001年の夏場所。その2日目(5月14日)、隆古川に寄り切られ黒星から相撲人生が始まっている。

 「初土俵で負けてるんだよね。負けから始まった」。初白星は3日目の古川戦。新弟子検査を180センチ、80キロで合格した少年は、器用な上手出し投げで才能の片りんを見せた。そこから積み上げた1000個の白星。「(モンゴルにいたとき)おしん、七人の侍、ラブジェネ(ラブジェネレーション)を見て日本に行きたいと、軽い気持ちで来たらこうなった」と冗談を言うが、入門から精進する姿勢は今も同じだ。

 「31歳だけど、完全な休みはつくらない。どこかで汗をかく。ダンベルを持ったり」と強い信念を持つ。

 千代の富士の1000勝達成は34歳、117場所目。魁皇は37歳、133場所目。白鵬は千代の富士より4年も早い93場所目(いずれも前相撲は含まず)だ。

 「地位が人をつくる。15年の3分の2が横綱。負けてはいけない、そういう立場。自分を奮い立たせてきた」

 2010年春から、15場所、一人横綱としてけん引。その間に、野球賭博、八百長問題という激震にも見舞われた。「この4、5年はいろんなことがありましたけど、我慢というか」。休場していた秋場所中は3日間の断食にも臨んだ。

 名古屋場所で右足親指を骨折。秋場所中に左膝と同時に手術した。計30分と言われたが、「2時間18分。途中で起きちゃった。先生に痛いですって言ったら、今まで起きた人はいるけど、しゃべった人は初めてですって言われた」。苦しいことも笑い飛ばし、さあ次の目標へ。「1001勝です」。地道な一歩を踏み出していく。 (岸本隆)

 

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