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「ゴーンの法則」 リーダー育成を阻む日本の文化、10年後に勝ち残る企業は?

NIKKEI STYLE 11/16(水) 7:47配信

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長が、社内外の若手幹部候補生30人と議論する「ゴーン・スクール」。日本人が苦手とする、ときに相手を傷つけかねない厳しいアドバイスは、マネジメントに求められる能力だという。「ゴーン先生」が考える、部下を成長させるための人材育成術とは――。

■「ゴーン流」人事評価とは

 ――階層組織の構成員に関する社会学の法則「ピーターの法則」では、「人間はどこかの段階で能力の壁にぶつかる」とされます。ゴーンさんに限界があるとは思えないのですが。
 「限界に達したことを自分で分かる人はいません。だからこそ、第三者的な評価、すなわち人事考課が重要なのです。そして、唯一の真実は、『パフォーマンス』は嘘をつかない、ということです。マネージャーのなかには、『相手を傷つけたくないから』もしくは、『彼女が好きだからよくいおう』という人がいます。真実をいわなかったり、甘いメッセージをいったり。しかし、それは間違っていますよ。痛みがあるから、患部を見つけられるのです」
 「マネジメントは、その当人を助けるためのものです。アルコールを飲んで痛みをごまかしても、根源的な課題がなくなったわけではありません。これでは、問題解決になりません。『我々は同じ会社の一員だから悪いところを改善してほしい』と伝えなければならないのです。問題があるのは当たり前なのです。重要なことは、彼や彼女に成功してもらうために、つまり建設的に指摘することです」
 「相手をいい気分にさせても、その人は何も学べません。傷つくけれど学んでもらい、『次回はもっと頑張ろう』と部下に思ってもらう。これこそマネジメントの神髄です。若い人がトップに行くためには、そういった自分の欠点を直視し、学ばなければ成長できませんよ」

■現状維持は許されない時代に

 「『ゴーンの法則』とでもいいましょうか。人間はずっと同じ仕事をしていれば限界に到達したり、能力がなくなったりすることがあります。古びてしまうのです。技術は日進月歩で進んでいる、スタートアップ企業も生まれ続けているのに『現状維持』というのは死を意味します。我々は常に、今の仕事に対して納得するまで走り続けなければなりません」
 「たった今、業績がよかったとしても、今のままを維持してしまったら将来的に駄目になります。常に今あるものは暫定的なものだと思わなければなりません。より志を高めなければなりません。これはマネジメントの基本です。今は変革の時代だからです。たとえ今の仕事に居続けたとしても、上を目指さなければ古びてしまいます。昇進しても、学ばなければひどいことになりますよ」

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最終更新:11/16(水) 7:47

NIKKEI STYLE

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