ミル財団創設の3カ月前に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が大企業の総帥7人と相次いで個別に会ったという報道が、事実だと判明した。昨年7月24日、朴大統領は大企業の総帥17人と公式に夕食会を開き、「韓流拡散のため大企業の協力」を求めた。続いて、この中でも財界での序列が上のグループ総帥7人と個別に会ったのだ。会談は2日間にわたって韓国大統領府(青瓦台)のセーフハウスで行われ、サムスン・SK・ロッテ・CJなどの総帥やその代理人が出席したという。
もし、朴大統領が総帥らに出資を具体的に要求したり圧迫を加えたりしたのであれば、安鍾範(アン・ジョンボム)元政策調整首席に適用された職権乱用罪の主犯容疑が朴大統領に適用されかねない。さらに、朴大統領が何らかの恩恵や代価の提供を暗示したのであれば、第三者に対する贈賄の可能性が高まる。またこの場合、総帥たちが収賄罪の適用を受けることもあり得る。出資金774億ウォン(約71億円)の性格や司法処理の範囲は、この点がどうなるかで違ってくる。大統領の実定法違反や弾劾要件が成立するかどうかにも関連する重大な問題だ。
財界関係者と特に会っていなかった朴大統領が、なぜよりによってミル財団プロジェクトが始まった後に財閥総帥を秘密裏に呼んだのか、韓国国民は気になっている。青瓦台が個別に呼び出した7グループの総帥は、ほとんどが政権の協力を必要とする懸案を抱えていた。サムスンは李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の継承問題、SK・CJ・ハンファは総帥一家の赦免問題が引っ掛かっていた。兄弟の間で経営権争いが起こっているロッテの辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)会長は、今年初めに朴大統領ともう1度会っていたとも報じられた。
しかし7大企業は、大統領との会談について一貫して口をつぐんでいる。役員が総帥に対して、そんなことがあったのかと尋ねてみることもできない企業もあるという。封建時代でもあり得なかった情けないことだ。どのみち、検察の捜査で全て明らかになる。その前に、どういう圧力があって、なぜカネを出したのか、国民の前で明らかにする方がよい。
検察は8日、サムスン電子・韓国馬事会への家宅捜索を手始めに、サムスン側が崔順実(チェ・スンシル)氏の娘の乗馬訓練を支援した疑いについて本格的な捜査に着手した。企業が政権のせいばかりにして、うやむやに乗り切れる事件ではない。大企業が自ら真相を明らかにして、政経癒着の輪を永遠に断つきっかけにすべきだ。