【モスクワ=田中孝幸】ロシアのショイグ国防相は15日、アサド政権と反政府勢力の内戦が続くシリアで過激派を標的とした大規模な攻撃を再開したと発表した。地中海に派遣したロシア唯一の空母「アドミラル・クズネツォフ」を初めて実戦に投入。航空部隊とともに、過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカイダ系「ヌスラ戦線」(シリア征服戦線に改称)の拠点に巡航ミサイル攻撃や空爆を加えたという。
タス通信などが伝えた。シリア問題を巡ってはプーチン大統領が14日のトランプ次期米大統領との電話協議で過激派掃討での米ロ協力で合意していた。今回の攻撃にはIS対策を最重視するトランプ氏の意向を尊重する姿勢をみせ、ロシアが求めるアサド政権の存続に向けた米国の歩み寄りを求める思惑もあるとみられる。
ショイグ氏は15日に南部ソチで開いたプーチン氏との協議で、シリアの過激派への攻撃を当分続ける意向を示した。北部の激戦地アレッポを攻撃対象としているかは言及していないが、ロイター通信は反政府勢力が支配下におくアレッポ東部に数週間ぶりに空爆があったとの住民の話を伝えた。
シリア国営テレビは15日、シリア軍がアレッポへの空爆を実施したと報じた。ロシア軍は10月18日からアレッポへの空爆を控えているとしている。