スティーブ・ジョブズに捧ぐ、アップル初デザイン本。ジョナサン・アイブ独占取材

アップルから『Designed by Apple in California』が発売される。アップルデザイン20年の歴史を、プロダクトの写真450点を通して語る公式の書籍だ。カーサは、アップルのチーフデザインオフィサー、ジョナサン・アイブを独占取材。構想8年、序文で“スティーブ・ジョブズに捧げる”と掲げた、その思いとは?

アップルから発売される書籍『Designed by Apple in California』。

Q フォトブックを拝見しました。本当に美しい本ですね。

A ありがとうございます。私たちにとって今回のプロジェクトは、いろいろな意味において“めったにないこと”です。デザイナーの立場からすると、私たちが今、没頭しているのは「未来」についてなんです。つまり、まだこの世に存在していないものを新たに創造することこそが重要で、私たちが時間をかけて過去の仕事を考察したり、思案したりすることはほとんどありません。ですから、今回は非常にめずらしい取り組みでした。

ジョナサン・アイブが語るアップルデザイン。

Q このプロジェクトを思いついたのは誰ですか?

A 私です。8年ほど前のことですが、みんなで過去のアーカイブを作るのも悪くないなと思いつきました。そこで、まずはどのような形で表現しようかと考えました。デジタルで表現するのがいいのか、展示会の形がいいのか… デザインチームはものづくりが専門ですが、最終的に、本の形にすることが最適だと判断しました。

『Designed by Apple in California』はスモール版とラージ版の2種類。

Q この本は、アップルのプロダクトですよね。古典的な素材である「紙」を使用した製品はアップル史上初めてのことですね?

A そうですね(笑)。ただ面白いことに、私たちデザインチームは、プロダクトのパッケージまでいつも考えていますので、実は紙を扱うことには慣れています。このプロジェクトでは、その経験をいかすことができました。

《iMac》(1998年)は、それまでのPCのイメージを一気に塗り替えた。写真は、1999年に発売された5色の《iMac》。発売後、周辺機器はもちろん、文房具や雑貨までスケルトン&キャンディーカラーのデザインが大流行した。