相手任せはもう卒業! 『セックスペディア』著者が語る、女性が“性”を愉しむために必要なこと

「自由に性を愉しみたい」「友人には少し打ち明けづらい性についての悩みも解決したい」と、多くの女性が考え、そして悩んでいるのではないでしょうか? そんな平成の女子のために『セックスペディア―平成女子性欲事典―』(文藝春秋)が発売されました。今どきの女子のエロスに関する情報が盛りだくさん。性にまつわるあらゆるキーワードをわかりやすい文章と、かわいらしく爽やかなイラストとともに紹介しています。

これ1冊読めば、性を愉しむことも、最近の性についてのトレンドを知ることも、性や身体についての悩みを解決することも、さらには性に関する社会問題だって知ることができるのです! 読み終わることには「女性」として生まれてきたことを少し誇りに思えるほど。女性必携の『セックスペディア』を書かれた著者の三浦ゆえさんにこの本を書かれたきっかけや、性を愉しむために必要な心がけなどをお伺いしてきました。

女性のリアルな性について知ってほしい

――この本を出版することになったきっかけを教えてください。

三浦ゆえさん(以下、三浦):ハウツーセックス本や、セックスカルチャーに関する記事を制作してきたなかで知ったことを、友人らに話すと、意外とみんな知らなかった。セクシーなことに興味のある女性でも、広く網羅しているわけではない。かえって狭く深い知識になっている面もあるので、女性の性の世界は今こんなに豊かで、よりどりみどりなんだということを知ってほしくて、一冊の本にしました。

ここ数年、取材をするたびに、女子たちがすごく元気! ということを如実に感じていて……、でもその一方で女性の性についてリアルに描かれている本はないどころか、いまだに男性の性欲にあわせることをよしとしている恋愛指南本が多かったので、今の女性のエロはこんなに元気でおもしろいんだぞ! ということを世間に伝えつつ、その知識を利用して女性がさらに元気になれる本を書きたいと以前から思っていました。

――女性用マスターベーショングッズ「iroha」やリベンジポルノ、はたまたマタニティハラスメントまで幅広いジャンルの言葉を収録しているのが、この本の魅力なのではないでしょうか。掲載されているキーワードはどのように選んだのですか?

三浦:いまどきの女子たちを元気にしているものや現象を紹介したいというのが第一にあったので、最近の言葉を中心にピックアップしました。

一番はじめの段階では今収録されているキーワードの三倍ほどの案があったんじゃないかな? その中からすぐ消えてしまいそうな言葉などを削って、今のラインナップになっていった感じです。また、タイトルの「事典」という名前が表す通り、どれか一つのジャンルを詳しく紹介するといったことも避けました。

SMやハプニングバーなど昔からある定番の言葉もいくつかは入っていますが、基本は女子たちが今、興味ある言葉を入れています。ここでも紹介したAV男優の一徹さんはものすごい人気で、ファンの集まりがあるほどなんですよ。ファン同士で集まって、カラオケでDVD上映会をすることもあるそうです。今までは友達にも話せなかった自分のエロに関するネタを、SNSなどを通じて知りあった友人たちと語り合えるというのはすばらしいと思いますね。

男子は好きなAVのジャンルとかを友人同士で話すのが普通ですからね。どんどん女子もそうなっていってほしいと思います。

自分で自分が気持ちよくなる場所を知ること

――本文中にあった「快感は自分の手でつかみとるもの」という言葉がずしんと胸に響きました。相手任せのセックスからどのように卒業すればいいでしょうか?

三浦:自分の性感帯を一番よく知っているのは、パートナーではなく自分自身。自分が気持ちよくなる場所を知らないのに相手に「私を気持ちよくして」と頼むのは無理ってもんです(笑)。セックスで快感を得たいなら、セルフプレジャー(マスターベーション)をして自分の感じやすいところ、感じやすい触り方などを覚えておいてパートナーに教えてあげるのがおすすめ! あと男はセックスが下手な生き物だと割り切るのも大事(笑)。

「自分の性感帯がどこかわからない」というセルフプレジャー初心者は、まず全身を優しいタッチで触るころから始めてみてください。それだけで「ここをこう触られるとちょっといいかも」というのがわかってきますよ。

またバイブレーターやローターなどのラブグッズはamazonなどでも気軽に買えるので、まず試しに一つ買ってみるのもおすすめです。

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積極的に性を愉しむ女性がますます増えるように

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

三浦:女性が性に積極的になってきているという話題になると、「いくらタダでやらせてくれるといってもあいつとするのはイヤだな」「俺にもチャンス到来かも!」などと幼稚なことを言いだす男たちが必ずいますが、女子がエロくなった、元気な女子が増えてきたというのは決してヤリマンが増えたということではないんです。自分の気持ちにより正直になった女性が増えてきたということ。

今後、自分本位なセックスしかしてくれないようなタイプの男性とするよりは、それこそ先ほど紹介した一徹さんのDVDみるほうがいい! という選択をする女性も増えていくのではないでしょうか。それはファンタジーに逃げるということではなく、自分に心地いい状態や上質なものを選んでいるという、積極的な選択だと思います。男性が想像している将来とは全く逆ですね(笑)。

BLや官能小説、ポルノ動画にいたるまで、おかずの選択肢は豊富。これらの中から自分にぴったりなのを探してみるのもいいですね。自分の手で快楽をつかみとり、自分で自分の危険を守る。そうやって積極的に性を愉しむ女性がますます増えることを願っています。また、この本が気持ちのいいセックスを手に入れるためのきっかけになれれば嬉しいです。

(文=高田真莉絵)

●三浦ゆえ
富山県出身。複数の出版社で編集業務を経験後、2009年からフリーライターに。大ベストセラー『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』の編集にかかわるなど、書籍、単行本、web媒体を中心に幅広く編集・執筆活動を行う。主なテーマは、恋愛、セックス、セクシャルヘルス、セックスカルチャー全般について。女性の性について掘り下げる「平成女子性欲研究会」を、友人・有志と発足。2014年3月、同会とともに『セックスペディア 平成女子性欲事典』を刊行。

<イベント情報>
4/5(土)深夜に開催されるフェティッシュイベント「デパートメントH」(鶯谷・キネマ倶楽部)に、『セックスペディア―平成女子性欲事典―』のブースが出店。同書の広報大使であるバイブコレクターのOL桃子さんが売り子として販売します。