ウリュカエフ露経済発展相=モスクワの経済発展省で2016年6月、杉尾直哉撮影
【モスクワ杉尾直哉】ロシアのプーチン大統領直属の連邦捜査委員会は15日未明(日本時間同日午前)、石油業界の再編に絡んで200万ドル(約2億1600万円)の賄賂を受け取った疑いでアレクセイ・ウリュカエフ経済発展相(60)の身柄を拘束し、捜査を開始したことを明らかにした。ウリュカエフ氏は、安倍晋三首相がプーチン大統領に提案した「8項目の経済協力プラン」の実現に向け、ロシア側の議論を主導していた。12月のプーチン氏の訪日へ向けた日露の協議にも影響を与える可能性が大きい。
連邦捜査委によると、ウリュカエフ氏は、国営石油企業ロスネフチが今年10月に地方の中堅石油企業の政府保有株50%を買収した際、この中堅企業の評価額を上げる見返りとして200万ドルの賄賂を受け取った疑いがもたれている。タス通信によると、ウリュカエフ氏はロスネフチ側に賄賂を要求したとされ、14日に賄賂を受け取った際にその場で身柄を拘束されたという。
ウリュカエフ氏はロシア中央銀行第1副総裁などを歴任し、2013年から経済発展相を務めていた。実務派として知られており、経済行政トップの身柄拘束は、ロシア経済のイメージを大きく損ねそうだ。
ペスコフ露大統領報道官は15日、インタファクス通信に対し、「非常に重い容疑であり、捜査当局は非常に重い(犯罪の)証明が必要だ」と述べた。
ロシア経済分野協力担当相を兼ねる世耕弘成経済産業相が今月上旬にモスクワを訪れた際、ウリュカエフ氏と会談した。また19日からペルーのリマで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でも、両氏は会談を予定していた。