ということで、今回は、そんなプラントベースを支えてきた代表的な研究者たちを、ぱぱっと見ていきましょう。
ネイサン・プリティキン
現在のプラントベースダイエットの専門家たちに多大な影響を与えた人と言えば、この人。ネイサン・プリティキン氏(1915 – 1985)です。プリティキン氏は41歳の時、心疾患があると診断されましたが、世界各国の食事を調査し、最終的には、自身で考案した低脂質高炭水化物ダイエットで、自分の心疾患を治してしまいました。プリティキン氏の死後(69歳)、彼の体を検体したところ、彼の心臓、動脈はすべて正常、冠状動脈は柔らかく、しなやか、動脈硬化はほとんど皆無という診断でした。(参照:Nathan Pritikin's Heart, NEJM, 313 (1): 52)
低脂質高糖質ダイエットのプリティキン氏と、糖質制限ダイエットで有名なアトキンス氏との間で、論争が起きたのは有名です。動脈硬化が皆無に近かったプリティキン氏の検体結果とは対照的に、アトキンス氏の検死のレポートには、「心筋梗塞、うっ血性心不全、高血圧」と書かれていたとのこと。(参照:Examining Dr. Atkins' Death--UPDATED)
プリティキン氏のダイエットは、「Pritikin Diet & Eating Plan」として、今でも公開されています。プリティキンダイエットの特徴は、加工されていないもしくは加工を最小限にとどめた食品、フルーツ、野菜、豆、穀物を中心とした低脂質高炭水化物なプラントベースダイエットです。脂質の少ない肉、魚などは制限付きで許しています。
ジョン・マクドゥーガル
ジョン・マクドゥーガル博士の提唱する「スターチ・ソリューション」は、芋、米、コーン等の加工されていないスターチ(でんぷん食品)を中心とした、低脂質、高炭水化物、ホールフード、プラントベースなダイエットです。スターチをメインにして、野菜、フルーツも食べます。やせていて、健康な人の場合は、ナッツやシードやアボカドなどもいくらかなら食べてかまいません。肉や魚はせいぜい休日のみにするという制限付ですが、基本的には肉や魚はだめ。オイルはだめ。 このダイエットは、スターチを中心としたダイエットなので、米を中心としてきた日本人には非常に移行しやすいダイエットだと思います。日本人だったら、麦飯(などの加工されていない米)をメインして、あとはフルーツや野菜を摂るという感じでしょうか。
コールドウェル・エセルスティン
「ノー、オイル!」で有名な、 コールドウェル・エセルスティン博士は、心疾患の治療にフォーカスして、プラントベースダイエットを推し進めています。 エセルスティン博士の研究では、198人の心疾患を持つ患者に、低脂質プラントベースダイエットを行わせました。177人がそのプラントベースダイエットを続け、たった一人だけが脳梗塞にかかりました。一方、そのプラントベースダイエットをやめた21人のうち、13人は、心疾患の症状が悪化しました。(この論文には、実際に、プラントベースダイエットにより、改善された動脈硬化の写真が載っています。)この研究結果は、まさにプラントベースダイエットが効果を発揮した例と言えるのではないでしょうか。
ニール・バーナード
ニール・バーナード博士は、糖尿病の治療で、プラントベースダイエットを推し進めています。2006年にDiabetes Careに発表された彼の論文は、血糖値のコントロールに関して、アメリカ糖尿病協会(ADA)のダイエットより3倍効果的だという結果を出しています。バーナード博士の講演はYoutubeにいくつもアップロードされていますが、ユーモアにあふれていて分かりやすいです。
ジョエル・ファーマン
ジョエル・ファーマン博士は、「ニュートリエント・デンシティ(栄養素密度)」を提唱しています。ニュートリエント・デンシティとは、次の式で定義されます。:
Health = Nutrients/Calories
つまりカロリーあたりの栄養素が高いものが、より健康的という考え方です。それぞれの食品に対して、スコアを算出したものがANDIスコアと呼ばれています。例えば、ケールは1000ポイント。コーラは1ポイントといったポイントがあります。アメリカの大手のオーガニック、自然派志向のスーパーマーケットWhole foods marketのウェブページにもこのANDIスコアが載っています。
ファーマン博士のダイエットは、「Eat To Liveダイエット」と言います。特徴としては、サラダ中心のダイエットで、生野菜、蒸したもしくは調理した野菜、豆、フルーツをメインに摂取するダイエットです。スターチ系の食品や、炭水化物が多い野菜は1日に1カップのみ、ナッツやシードは1オンス。アボカドは2オンス。ドライフルーツは大匙2杯。フラックスシードは大匙1杯。肉、乳製品、フルーツジュース、オイルなどは禁止です。アメリカのレストランなどでは、サラダをメインディッシュでオーダーしている人も多いので、アメリカではそれほど違和感ないかもしれません。
ディーン・オーニッシュ
ディーン・オーニッシュ博士は、虚血性心疾患の治療という面から、プラントベースダイエットを推し進めています。彼の治療のユニークな点は、ホールフーズ、プラントベースダイエットだけでなく、ライフスタイル自体を変えることで、精神的な面からも心疾患の治療を行っていくということです。そのためにヨガや瞑想なども取り入れたりしています。彼のダイエットは、ザ・スペクトラムと言います。ヘルシーな5つのグループにカテゴライズされたダイエットと、心疾患改善のためのダイエットがあります。心疾患改善のためのダイエットでは、総摂取カロリーの10%の脂質、10gのコレステロールの制限があります。肉、魚は禁止などなど、各種のルールがあります。
ということで、押さえておくべきリーダーたちをぱぱっと見てみました。糖尿病から心疾患まで、異なる側面からからプラントベースダイエットにアプローチしていくというのがおもしろいところです。Youtubeで検索してみると、これら個性的なリーダーのセッションがたくさん観ることができます。
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