HOME > レビュー > DigiFi 最新デジタルオーディオ情報『MQAとは何か?』
2016年11月15日/橋爪徹
DigiFi No.23付録DVDには、新しいエンコード技術MQAを採用したデジタルファイルが収録されている。MQAとは、Master Quality Authenticated(=マスタークォリティであることが証明/認証されている)の略。マスタリングスタジオで鳴っている音、つまりマスタークォリティ(ハイレゾ)の音を品質面で妥協せず、CDクォリティ同等の容量に圧縮してしまうという画期的な方法だ。早速、この詳細をみていこう。(編集部)
ハイレゾという言葉がマニアだけでなく、音楽ファンやライトなオーディオファンに浸透し始めて早数年。フォーマットはWAVやFLAC をはじめとしたPCMとDSD(DFFやDIFF)の二本柱に落ち着いてきた印象がある。PCMはDXD という超ハイサンプリングレート版(352.8kHz/24ビット)ファイルが配信開始され、DSDは11.2MHzという音源が登場し楽曲も増えてきている。しかし、いくら音がいいといっても、いかんせんデータ量がデカ過ぎてそろそろ頭打ちなのではと感じている方も少なくないだろう。
そこで注目したいのが、今回紹介するMQAだ。まずMQAはファイルフォーマットではない。FLACなどとは違い、「.mqa」という拡張子は存在しないのだ。大前提としてMQAはPCMにおける新しいエンコード技術と理解して欲しい。以下に概要をみていこう。
MQAを開発した元メリディアン・オーディオ/現MQA代表であるボブ・スチュアート氏(以下、ボブ氏)は、PCM音源における A/D変換から D/A変換までの過程で起きる問題点に着目した。デジタル記録する音声ファイルには劣化が起こらないというのは誤解で、 特に大きな変質として音の時間軸方向の"滲み"や"ボケ"があるという。
これらは A/DならびにD/A変換の際に通過するローパスフィルター、すなわちアンチエイリアシングフィルターおよび再構成フィルターなど によって引き起こされる。また、デルタ・シグマA/D、D/A変換で定番のダウンサンプリングとアップサンプリングは段階的にやればやるほど量子化ノイズが乗ってしまうので、マイクやスピーカーによる損失など考慮しなくても既にデジタルの領域でロッシーだとボブ氏は主張している。サンプリング周波数を高めていけば音の滲みは減っていくものの、容量が増大する割には、音質の向上はそれほどではないので彼の問題意識は高まったようだ。
人間は危険を察知するため音の周波数より時間軸情 報に対する感度を本能的に高めてきた。研究では両者 には5倍もの差があるといわれている。ならば高周波の再現ばかりではなく、聴覚の特性に合ったアプローチが重要なのではないかと考えたわけだ。
MQAでは、この音の滲みを少なくとも聴感上で1/10まで減少させることを可能にした。詳細は不明だが、A/D、D/A変換の回路構成を仮想的に最短化したイメージで注意 深く処理を行なうらしい。人間の聴覚の時間分解能とされている5~8μs(マイクロセカンド=100万分の1秒)に近い10μsまで滲みを抑えるというから、マスタリングスタジオで制作者が聴く音質をそのままリスナーに届けるというコンセプトに適ったものといえる(図1)。
図1.音の「ボケ」イメージ
時間軸方向の音の「ボケ」(=Blurring)のイメージ図。MQAエンコードされたデータは、音の立ち上がり/下がりが素早い。192kHzというハイサンプリングデータでさえも、図のように音の前後に「ボケ」や「滲み」が生まれてしまうという。48kHzや96kHzのデータでは「ボケ」はより大きくなる
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