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安倍政権の経済政策というか金融政策のブレーンであった浜田センセイのインタビュー記事。(本石町さんのツイッターで紹介されていました)。 http://www.nikkei.com/article/DGKKZO09531030U6A111C1EE8000/ いわく 「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」 「(著名投資家の)ジョージ・ソロス氏の番頭格の人からクリストファー・シムズ米プリンストン大教授が8月のジャクソンホール会議で発表した論文を紹介され、目からウロコが落ちた。金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。」 要するに日銀の異次元緩和の背景にあった考え方の大元の方が「間違っていました」と告白しているわけです。知ってたけど。 まあこういう方の、あまり検証されてもいない幼稚な考えを採用する政権も政権ではありますが、学者としてのけじめというかそういう矜持というのがこの大センセイに感じられないのが悲しいです。ご自身は学者として政権からアドバイスを求められて回答しただけと思っているかもしれませんし、確かにそれを採用した責任は安倍首相にあるわけですが、このあと、中長期的に起こりうる日本の経済や市場に対する不必要なプレッシャーとかいわゆる副作用とかもともといっぱいあったのを覚悟で、その「想定されるメリット」だけに着目して経済音痴である安倍首相などを動かしてしまったことに対して、やはり「責任」は感じていただかなければならないのではないか、と思うわけです。つまり間違っている可能性があるなら、その可能性をきちんと説明しておくべきだし、間違ってないとおもって進言したなら、学者として間違っている(能力がない)ということなので、経済学者の看板は下ろすべきでしょう。 まあ、安倍政権や黒田日銀の「怖さを知らない」という面が今の株高につながっている面はありますが、やはり日本の将来像を考えるとき、初めからワタクシが申しておりますように、所詮はこうした金融面での施策は一時しのぎであり、その時間稼ぎの間にきちんとした人口構成や労働力などについて構造改革をする必要があったし、むしろそうしたものが同時に想定されていなければ、やるべき施策ではなかった、とワタクシは今でも思っています。案の定というか、金融面での施策はどんどん追いつめられて(そもそもインフレ目標達成してもどうたら、という声も出てきてますし)時間切れ寸前で、国家のトータルなバランスシートはどんどん劣化している。構造改革は「全く」と言っていいほど進まず、オリンピックとかそういう「筋悪」な施策で国民の目をごまかしている。もちろん、痛みを避ける必要があるのはわかりますが、痛みを避ける政策には限界があるということも覚えておく必要があります。ガンは切らなきゃ治らないところもあるし、壊死した手足を切り落とさないと助かる命も助からない面もあります。政治に期待されるのはそういう「覚悟」であり、国の将来をきちんと見据えた価値判断であろうと思います。 それと、ついでに言うと、経済や法律などの社会科学、特に人間行動を扱う分野で「普遍的な正解」はない、と考えるべきだと思います。マネタリズムの考えがあたかも物理法則のように主張され(某副総裁)出来なかったら辞任するとまで大見得を切るという醜態までさらしてしまうのは、やめたほうが良いと思います。人間行動や社会の変数は多種多様であり、一定のルール通りにならない。こういうことは法律の実務をやれば多少理解できるのでしょうが、経済の純粋培養の方々にはあまり理解されていないようです。言い方は極端かもしれませんが、この浜田センセイの罪は、証明されていないものをあたかも真理として主張したという点で、小保方さんの論文ねつ造事件に匹敵するものであり、実際の政権に影響を与えたという点では、さらに悪質だと思います。 |
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