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【スポーツ】

[陸上]那須川が日本人最高の5位 陸連幹部は低調な結果に渋い顔

2016年11月14日 紙面から

日本人最高の5位でゴールする那須川瑞穂=さいたまスーパーアリーナで

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◇さいたま国際マラソン

 ロンドン世界選手権代表選考会を兼ねる▽13日▽さいたまスーパーアリーナ発着の42・195キロ▽スタート時の天候 晴れ、12・4度、湿度58%、北北西の風0・3メートル

 ベテランランナーが意地の一花を咲かせた。36歳の那須川瑞穂(ユニバーサルエンターテインメント)が2時間33分16秒で日本人トップの5位でフィニッシュした。一方で、2時間23分18秒で優勝したチェイエチ・ダニエル(ケニア)からは10分近く遅れるなど、世界選手権代表選考会としては昨年よりさらに低調な結果に終わり、日本陸連は代表枠の3を使い切らない可能性についても言及した。

 ベテランの意地と恩師への思いが最後の最後、苦しい局面で体を動かした。40キロ付近から続いた5位争い、ゴール直前で那須川が懸命のスパートを放つ。「私の持ち味はしぶといところ。スイッチが入った」。6位のフィン(豪州)に1秒差をつけてゴールに飛び込むと笑顔で両手を広げた。

 5位という順位にも笑顔なのは理由があった。19年間師事している佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表(77)が体調を崩し、検査も含めて入院中。「どういった形でも笑顔のゴールを見るのが一番元気になると言っていた。自分が大変な中、前向きに励ましてくれて、咲くかも分からない花に愛情を注いで育てていただいたことには感謝している」。現状でベストの走り、悔いなきフィニッシュが何よりの恩返しだ。

 ベテランとしての頑張りは光った一方、代表選考では那須川自身にも日本の女子マラソンにも厳しい現実が突きつけられた。日本陸連の尾県貢専務理事は「ベテランの那須川さんが頑張ったが、日本人全体から見ると、前半から置いていかれる展開は残念」と総括し、河野匡長距離・マラソンディレクターも「選考で求められている目標値からは程遠いのが現実。東京五輪を考えると、3枠あるからと言って、戦えないチームづくりをしても今後戦えるとは言えない」と世界選手権代表枠の返上も示唆した。

 那須川は「これが今の自分の精いっぱい。今後のことは現時点では決めていないので、ゆっくり考えたい」と現状を受け止めた。女子マラソンで満開の花が咲く未来はまだ見えない。 (川村庸介)

 

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