北原みのり「『変な日本』が入ってきてない対馬」
ライブの翌日、港町の厳原を散策した。小さな土産物屋などが並ぶ古い通りでパチンコ屋の看板を見つけたとき、思わず私は声をあげた。それが、あまりにも懐かしい二次元表現だったから。女性が膝下丈のスカートをはいて、まっすぐコチラを向き、誠実な調子でお辞儀している絵だ。東京のパチンコ屋だったら、この女性は水着姿で身体くねらせ口半開きで乳首が見えそうなはずなのに……。久々に見たエロくない二次元女性表現くらいで、ありがたや……と感じるのも、対馬効果だろうか。というか、「変な日本」が入ってきてない! もう対馬、最高!!
帰ってからすぐ、『海游録─朝鮮通信使の日本紀行』を読み始めた。18世紀の朝鮮の儒者から見た当時の日本の描写が、今の日本にもそのままあてはまることが多く、驚いた。日本が世襲制のために「怪鬼のごとき輩」(!)が重要なポジションについているとか、問題があると大声をあげる知識人にあきれたり、日本の派手で露骨な性文化にびっくりしたり。変わってないです~と、300年前の朝鮮人と語り合うような気持ちで読書した。
フェスは来年も行われるとか。ぜひ行きましょう!
※週刊朝日 2016年11月11日号
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