COP22 パリ協定締約国の初会合 今夜開催へ

COP22 パリ協定締約国の初会合 今夜開催へ
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北アフリカのモロッコで開かれている地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP22」で、日本時間の15日夜、パリ協定の締約国による初めての会合が開かれます。アメリカの次期大統領に温暖化に否定的なトランプ氏が選ばれ、世界全体の対策が後退すると懸念される中、各国が今後、対策にどのように取り組むのかが焦点になっています。
すべての国が温暖化対策に取り組むことを定めた「パリ協定」は、去年の採択からわずか1年足らずの早さで今月4日に発効しました。

これを受けて、日本時間の15日午後7時ごろからモロッコで開かれている国連の会議「COP22」の会場で、協定の締約国による初めての会合が開かれます。

会合では、協定の具体的なルール作りの議論などが行われる見込みで、その後、会合に続いて、開催国のモロッコの国王や各国の首相、それに環境相などがパリ協定に基づく世界規模の温暖化対策の重要性などについて訴える予定です。

パリ協定をめぐっては、これまで交渉をリードしてきたアメリカの次期大統領に温暖化に否定的で協定からの脱退も示唆しているトランプ氏が選ばれたことから、各国の交渉団や専門家からは世界全体の温暖化対策が後退すると懸念する声が相次いでいて、各国が今後、対策にどのように取り組むのかが焦点となっています。

一方、日本は、協定の締結が遅れたため、締約国会合には決定に異議の申し立てができないオブザーバーとしての参加となり、発言力の低下をどう食い止め、温暖化対策に積極的に取り組む姿勢をアピールするかも注目されます。

米特使「トランプ氏就任も世界の潮流変わらず」

アメリカの次期大統領に地球温暖化に否定的なトランプ氏が選ばれたことで、世界の温暖化対策が滞るのではないかとの懸念が出る中、パリ協定の早期発効などに主導的な役割を果たしてきたアメリカのパーシング特使が「COP22」の会場で記者会見し、トランプ氏が大統領に就任したあとも対策を求める世界の潮流と再生可能エネルギーの普及は止まらないと強調しました。

ジョナサン・パーシング氏は、アメリカを代表して各国との交渉にあたるためオバマ政権が任命した地球温暖化の「特使」で、14日、COP22の会場で記者会見しました。この中で、パーシング特使は、トランプ次期大統領に言及し、「今後、トランプ氏の政権移行チームと話し合う。このとき初めて今後4年間の政策が見えてくるだろう」と述べ、影響を推測するのは時期尚早だと指摘しました。

そのうえで、「中国をはじめとした世界の経済大国は削減目標をすでに政策に反映している。アメリカでは太陽エネルギーの発電コストが、6年前に比べて65%も下落した。経済性から再生可能エネルギーの導入が進んでいる」と述べ、トランプ氏が大統領に就任したあとも対策を求める世界の潮流と再生可能エネルギーの普及はもはや止まらないと強調しました。

山本環境相「発展途上国の支援を」

「COP22」に出席するため、北アフリカのモロッコに入った山本環境大臣は、マラケシュのホテルで記者団に対し、「パリ協定で初めて発展途上国も温暖化対策に取り組もうとしているので、今回のCOPではそれが実現できるよう、日本が培ってきた技術や経験で支援できるような仕組みを作っていきたい」と述べました。

また、アメリカの次期大統領に温暖化に否定的なトランプ氏が選ばれたことについて、「温暖化対策は大きな潮流になっているので、逆らえないのではないか」と述べ、世界の温暖化対策の推進に大きな影響はないという認識を示しました。