政府税制調査会(首相の諮問機関)は14日、配偶者控除の見直しについて複数案を示した提言をまとめた。配偶者の年収が103万円を超えても控除を受けられるようにし、パートで働く主婦が就労調整の目安とする「103万円の壁」を事実上引き上げる案を盛り込んだ。103万円を基準にする企業の配偶者手当などの見直しも求めた。
配偶者控除の見直し案では全面廃止や、共働き世帯にも控除を適用する「夫婦控除」など過去に示してきた3案を併記。今回はパート主婦の減税枠を拡大する案も新たに盛り込んだ。パート主婦減税の拡大は政治主導で検討が進んでいる。提言では「配偶者の年収制限である『103万円』を引き上げることも一案との意見があった」とし、パート主婦の減税を追認する考えをにじませた。
103万円を基準にして配偶者手当を支給する企業は多い。人事院の調査では、配偶者に手当を支給する企業のうち配偶者の収入制限を103万円にする企業は約6割に達する。提言では企業の配偶者手当も就労調整が生じる要因になっていると指摘し「抜本的な見直しを強く求めたい」とした。
中里実会長(東大教授)は記者会見で「働き方の選択に対して中立的な仕組みの構築は税制のみでは達成できない」と指摘。政府に社会保障制度や労働政策など関連する政策の見直しを求めた。