こんにちは、Shin(@Speedque01)です。トランプ氏に関する記事を色々読んでいたのですが、一際目を引く記事を見つけたので紹介します。
それがこちらの記事「I'm a Muslim, a woman and an immigrant. I voted for Trump」です。
日本語に訳すと、「私はイスラム教徒、女性で移民。私はトランプに投票した」ですね。
もともとアメリカ人が「もうアメリカオワタ\(^o^)/」みたいな状況になってしまった理由のひとつが、彼のレイシスト的な発言です。
参考:トランプの何がそんなにイヤなのか、アメリカ人に聞いてみた - Outward Matrix
イスラム教徒かつ移民、そして女性という、トランプ氏の暴言対象に入りまくっている属性を持っている人が、なぜ彼に投票したのか。非常に興味深く読みました。
記事の著者は51歳の移民のイスラム教徒(女性)
まずは記事の著者の自己紹介から引用します。
This is my confession - and explanation: I - a 51-year-old, a Muslim, an immigrant woman "of colour" - am one of those silent voters for Donald Trump. And I'm not a "bigot," "racist," "chauvinist" or "white supremacist," as Trump voters are being called, nor part of some "whitelash."
日本語訳するとこんな感じでしょうか。
これは私の告白、そして説明になります。私は51歳のイスラム教徒で、「有色」の移民女性であり、ドナルド・トランプの「無声投票者」です。
そして、トランプのメインの支持者といわれている「偏見を持つ人(Bigot)」でも「人種差別主義者(Racist)」でも「狂信的愛国主義者(Chauvinist)」でも「白人優越主義者(white supremacist)」でも「白いゴミ(Whitelash)」でもありません。
トランプに投票した人がどのような扱いを受けているか、この自己紹介だけでひしひしと感じることができますね。この記事を公開すること自体、かなり勇気がいることだったのではないでしょうか。
果たして、一般的に言われているトランプ支持者とまったく違った属性を持っている著者がトランプに投票した理由とは何だったのでしょうか。続きを見てみましょう。
中絶、同性婚、気候変動に対する姿勢は民主党と同じ
After Hillary Clinton called Trump to concede, making him America's president-elect, a friend on Twitter wrote a message of apology to the world, saying there are millions of Americans who don't share Trump's "hatred/division/ignorance." She ended: "Ashamed of millions that do."
That would presumably include me - but it doesn't, and that is where the dismissal of voter concerns about Clinton led to her defeat. I most certainly reject the trifecta of "hatred/division/ignorance." I support the Democratic Party's position on abortion, same-sex marriage and climate change.
日本語に訳してみます。
ヒラリー・クリントンがトランプを大統領選の勝利者と認めた後、Twitterでの友人が世界に向けて謝罪の言葉を書いた。それは、「何百万人ものアメリカ人がトランプの『憎しみ、差別、無知』を分かち合うことができなくてごめんなさい」というものだった。締めの言葉は、「何百万人もがそれを共有しているのは恥ずべきことだけどね」だった。
私はおそらく後者の「何百万人」だとみなされるだろうが、それは違う。そして、それこそがクリントンを敗北に導いた要因なのだ。私は明確に「憎しみ、差別、無知」を拒否するし、中絶、同性婚、気候変動に関する民主党の姿勢を支持する。
著者のAsraさんは、中絶や同性婚、気候変動に関してはヒラリー・クリントンの民主党の姿勢を支持するといっています。ではなぜ彼女はトランプに投票したのでしょうか?
オバマの公共政策とISISへの弱腰な姿勢が決め手
But I am a single mother who can't afford health insurance under Obamacare. The president's mortgage-loan modification program, "HOPE NOW," didn't help me. On Tuesday, I drove into Virginia from my hometown of Morgantown, West Virginia, where I see rural America and ordinary Americans, like me, still struggling to make ends meet, after eight years of the Obama administration.
(中略)
Finally, as a liberal Muslim who has experienced, first-hand, Islamic extremism in this world, I have been opposed to the decision by President Barack Obama and the Democratic Party to tap dance around the "Islam" in Islamic State.
日本語に訳してみます。
しかし、私は「オバマケア」で健康保険に加入できない、独身の母親という立場なのだ。そして、オバマ大統領のモーゲージローン救済プログラム「HOPE NOW」は何の役にも立たなかった。
(中略)
最後に、私は「イスラム過激派」を経験したリベラルなイスラム教徒として、バラク・オバマ大統領と民主党の、イスラム国を擁護する姿勢に反対なのだ。
「オバマケア」とは、オバマ氏が推進した医療保険改革の通称ですが、これには多数の批判があります。
オバマ米大統領の政治的遺産(レガシー)の筆頭格とされる医療保険制度改革(オバマケア)への批判が、思わぬ形で再燃している。大統領選の民主党候補、ヒラリー・クリントン氏の夫、ビル・クリントン元大統領がオバマケアについて、「世界で最もクレージー(まともではない)な出来事だ」と述べたためだ。共和党候補のドナルド・トランプ氏はオバマ氏の失政を元大統領が認めたとして、格好の攻撃材料にしている。
元大統領は3日のミシガン州での演説で、オバマケアで不利益を被ったのは「(低所得者に支給される)補助金を受け取るためにはほんの少しだけ収入が多い中小企業経営者や個人だ」と言及。オバマケア導入後に保険料が大幅に値上がりしたことにも触れ、中間層へのしわ寄せの大きさを激しい言葉で問題視した。
オバマケアにより、保険料の値上がりや補助金受け取りが困難になるなど、主に低所得者層には厳しい状況になってしまったようです。これも、彼女がトランプに票を入れた一因とのこと。
また、ISISに対するオバマ氏の弱腰な姿勢も決定打のようです。
カーター元米大統領が、イスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)への対応をめぐり、オバマ大統領を批判している。オバマの対応の遅れが、ISISの勢力拡大を許したというのだ。
(中略)
パネッタは回顧録で、イラク駐留米軍の規模を拡大するべきだとオバマに進言したが、聞き入れられなかったと記している。十分な兵力を配置しなければ、イラクはますます不安定化すると、パネッタは考えていたという。
「イラクではアルカイダが再び勢力を拡大し、スンニ派とシーア派の衝突も悪化している。米軍の規模の小ささは、こうした状況に自分たちで対処しろとイラク軍を突き放したようなものだと、私は今も思っている」と、パネッタは書いている。
「ホワイトハウスはアメリカの影響力や国益を守るよりも、とにかくイラクから手を引きたがっているという印象を、イラクの味方に与えてしまった」
ISISが引き起こし続ける残虐な事件の数々、しかしそれに煮え切らない態度を取ってしまった民主党オバマ政権。それもトランプ躍進の一因だったのかもしれません。
一面的な決め付けは忌避すべき
今回少し調べてみて感じたのは、「トランプに投票したヤツはレイシストだ!!!」のような一面的な決め付けは絶対にしてはいけないということです。
人はそれぞれ状況が違い、政治に望むこともそれに伴って変わっていきます。トランプの発言は確かに過激で反感を買うものではありますが、彼が当選した理由はさまざまなものがあるでしょう。
一面的に判断し、他人の選択を攻撃するような人にならないように気をつける必要がありますね。
次はこの記事をどうぞ:ドナルド・トランプの正体とは。「熱狂の王 ドナルド・トランプ」を読んでみた - Outward Matrix