ペットとして生涯を過ごすはずだった犬や猫が、そうでなくなった場合、「殺処分」が行われていることを知っていますか?
殺処分とは、その字の通り、殺して処分することです。
野良犬が放置されているままの状態では、狂犬病を始めとした病気が蔓延するリスクがあるため、このような措置が取られているのです。
捨てられた犬、迷い犬、野良犬など、飼い主を失った犬たちは、一度自治体に集められます。
そこで、元の飼い主が発見して引き取る場合・新たな里親が見つかる場合を除いた、残りの犬たちは、自治体により殺処分されることとなります。
その殺し方の多くは、炭酸ガスによるものです。
処分する犬を、小さな2畳ほどの部屋に押し込め、二酸化炭素(炭酸ガス)を注入するのです。
この時すでに弱っている犬も多くおり、彼らは直ぐに自力で立つことができなくなります。
まだ元気な犬は、酸素を求めて頭をもたげ、最後まで生きようとするのです。
そして、最後はどの犬も意識を失い、倒れます。
この犬たちが死ぬ瞬間は意識を失ってからだといわれています。
しかし、それまで酸素が極度に薄い状態で放置しなければならないことから、その現場を見た方々は、ほとんどが「安楽死」とは程遠いものであると感じるほどです。
さらに死んでいった犬たちは、機械的に焼却炉へと落とされ、焼却されていきます。
残った骨や灰は、産業廃棄物として処理されていくのです。
では、なぜこのような殺し方をしなければならないのでしょうか。
まず第一に挙げられるのが、殺処分される犬の数です。
平成27年度に自治体に引き取られた犬は46,649匹です。
そのうち13,220匹が飼い主の元へ返還され、16,417匹が新たな飼い主の元へと譲渡されていきました。
そして、残った15,811匹が殺処分されています。(※環境省ホームページより)
単純計算で考えると、毎日43.3匹もの犬が処分されていることとなります。
平成16年度では155,870匹もの犬が殺処分されていたことを見ると、約10分の1となっており、約10年間でかなり減少していることが窺えます。
しかし、それでもこれほどの数の犬たちが理不尽に殺されてしまっているのです。
そして、残念なことですが、自治体としてもあまり多くの時間と費用を割くことができないというのが現実です。
そこでこのように、一度にたくさんの犬たちを処分することができる方法が採られているのです。
次に挙げられるのが、費用の問題です。
上述のように、多くの自治体が炭酸ガスによる殺処分を行っていますが、福井県や大阪府といった一部の自治体は薬品による安楽死という手段を取っています。
これは一匹一匹に注射を行っていくため、一度にまとめて処分することのできる炭酸ガスと比較すると、より多くの費用がかかります。
唯一、下関市ではより犬への苦痛を軽減することを目的として、吸入麻酔剤による方法が採られています。
こちらも炭酸ガスと比較すると設備や年間の費用がかかってしまうため、全ての自治体が採り入れることは困難です。
こうした理由から、現在では炭酸ガスによる殺処分が行われ続けているのです。
では、自治体に働きかけ、多くの税金を投資し安楽死の設備が作られたとするなら、それで解決となるのでしょうか?
答えはもちろん「ノー」です。
より苦痛が軽減されるからといって、理不尽に命を終わらせられてしまう犬たちは減ることはありません。
自治体へ引き取られる犬のうち、約14パーセントにあたる6,462匹は、飼い主から直接持ち込まれています(平成27年度)。
仮に、全国的で安楽死という形で、犬たちがあまり苦しむことなく殺処分が行われることになったとします。
その事実が一般的に知られていったなら、どうなるでしょうか?
「処分する」ということに対する精神的なハードルが低くなってしまい、こうした心無い人々が増えてしまう可能性も否定できません。
万一こうなってしまった場合、引き取り数がかえって増えてしまうという事態を招きかねません。
もちろんできるだけ苦痛を伴わないようにすることは、とても重要なことです。
しかし以上の理由から、これが理不尽に殺されていく犬たちにとっての、すべての解決とならないことは明らかです。
こうした状況から、「殺処分ゼロ」を掲げ、活動している個人の方や団体の方が多くいらっしゃいます。
先日、小池百合子東京都知事が公約として掲げたことでも話題となりましたね。
「殺処分ゼロ」を目指し活動している団体の中に、「ピースワンコ・ジャパン」という団体があることを知っているでしょうか?
ピースワンコ・ジャパンでは、本拠地としている広島県の殺処分数をゼロにすべく、2013年の秋から「広島の犬の殺処分ゼロ1000日計画」を始めました。
これに沿って、2016年4月以降、広島で殺処分の対象となってしまった犬を全て引き取り、殺処分数が最も多い県であった広島県での「殺処分ゼロ」を実現しています。
このような実績から、ピースワンコ・ジャパンでは、全国的に適用可能なモデルを構築することを目的とし、現在も活動を広げています。
保護犬事業として、広島県の殺処分対象となっている犬の全頭引き取り、獣医師による健康管理を行っています。
そうして保護された犬たちは、ドッグトレーナーによるしつけを受けます。
その後、広島・神奈川で運営されている譲渡センターを通じて、新たな里親を探し、譲渡しているのです。
譲渡・返還率は5割以上を常に維持しており、湘南の譲渡センターでは企業と提携し、非営利型のペットショップのモデルづくりを目指しています。
譲渡センターは、さらに今後東京に2か所設立される予定です。
こうした活動がもっとメジャーなものとなれば、新たなペットをお迎えするときに、ペットショップではなく譲渡センターへ行ってみるということが、当たり前となる日が来るかもしれませんね。
また、保護犬事業と並行して、ピースワンコ・ジャパンでは、災害救助犬育成事業、教育・啓発事業なども行っています。
災害救助犬育成事業によってトレーニングされた犬の中に、「夢之丞(ゆめのすけ)」という犬がいます。
夢之丞は、殺処分の対象となっていたところをピースワンコ・ジャパンによって引き取られ、トレーニングを積んで、実際に災害の現場で捜索・救助活動を行うまでになりました。
どれほど殺処分ゼロを願っていても、私たち個人ができることは、残念ながらあまり多くないことも事実です。
そこで、「ピースワンコ・ジャパンへ寄付をする」という選択肢を提案したいと思います。
上記のような活動を維持し、また全国へと発展させていくために、相応の費用が必要となることは避けられません。
そこで、ピースワンコ・ジャパンでは、「ワンだふるサポーター」という継続的な支援を募集しています。
これは、月1000円からの寄付を行うことで、活動の支援をするができる制度です。
ワンだふるサポーターになると、入会書・引き取られている犬たちのポストカードが届きます。
また、年3回のニュースレターが届き、活動状況や寄付金の使われ方を知ることもできます。
(※お金の使われ方についてさらに知りたい方は、ホームページで年次報告書を見ることができますよ。)
つまり、1日あたり約30円の寄付をすることで、「殺処分ゼロ」への想いを託すことができると言えます。
もしも、あなたが犬の殺処分について心を痛めながらも、どうして良いかわからないのなら、こうした形で一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
また、ピースワンコ・ジャパンはNPO法人の中でも数少ない認定NPO法人であるため、年間2000円を超える部分について、最大で40%が税額からの控除を受けることもできます。
以下のバナーから、ワンだふるサポーターへの申し込みをすることができます!
さらに一歩踏み込んで考えてみると、「殺処分ゼロ」が、必ずしも解決となるわけではないという意見もあります。
なぜなら、飼い犬すべてが幸せな生活をしているとは言い切れないからです。
「殺処分ゼロ」という文言だけを安易に信用してしまうと、十分な世話を受けられないまま飼われている犬たちの存在に目が向かない可能性があります。
主にそのような理由から、「殺処分ゼロ」という言葉に不安を覚える人も一定数います。
つまり、ひとつの方法ですべて解決されることは、決してありません。
しかし、こうしている間にも毎日のように殺処分が行われており、時間をかけて考えていられないこともまた事実なのです。
現状について正しく知り、かつ行動する人が増えることで、解決に一歩ずつでも近づくことは間違いありません。
人間たちの都合で振り回され、理不尽に扱われている犬たちの命について、今一度考え、一歩踏み出してみませんか?
あなたの一歩が、確実に犬たちを救う力となりますよ。
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