日銀の黒田東彦総裁は14日、名古屋市での講演で地元経済界に対し「物価上昇率2%という物価全体の『ものさし』を前提に賃金決定などに取り組むことが日本経済に必要」と語った。国内では賃金交渉は過去の物価上昇率の影響を受けやすい。欧米のように予想物価上昇率を賃金決定の要素とすることで、日銀が掲げる2%目標に弾みがつくとの認識を示した。
地元経済界からは、米大統領選挙の結果や中国経済などが世界経済や金融市場に与える影響が不透明との指摘が出た。黒田総裁は「為替相場が経済にどういう影響を与えるかには重大な関心がある。しっかり注視していきたい」と答えた。
任期の2018年4月後も続投しないのかとの質問については「私から何か申し上げる立場にない」としたうえで「金融政策運営は合議体で決めるので、誰が総裁でも2%への姿勢は変わらない」と話した。