環太平洋経済連携協定(TPP)の実現は事実上遠のいた。オバマ米大統領が任期中の議会でのTPP批准を断念したからだ。トランプ米次期大統領は「TPP廃止」を就任後100日で優先的に進める課題に含めた。
米日を含む12カ国が参加したTPPは過去最大規模の自由貿易協定(FTA)だ。加盟国が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は37%、貿易割合は25%に達する。しかし、韓国は韓中FTAを重視したため、TPPの創設メンバーには含まれていない。その後、韓国政府は「TPP加盟は貿易依存度が高い韓国としては選択ではなく必須だ」という批判を受け、追加加盟に向けて奔走した。しかし、中心国である米国が抜けたことで、TPPは頓挫の危機を迎えており、韓国は世界の通商秩序再編に備えた新たな戦略づくりを迫られている。さらにトランプ政権とは韓米FTA再交渉でも顔を付き合わせなければならない状況だ。
■TPPなき後、韓国の選択は
本紙は韓国の通商専門家10人を対象に韓国の対応戦略を緊急調査した。相当数の専門家は「トランプ氏の保護貿易主義が予想よりも早く現実化し始めた」と指摘した。梨花女子大のチェ・ウォンモク教授は「政府の一部にはオバマ大統領も当初は韓米FTAに反対だったが、後から方針転換した例を挙げる人もいる。しかし、TPPの場合はそうはならないはずだ」と述べた。
専門家はトランプ政権がTPPの代わりにアジア太平洋地域で新たな「トランプ式多国間FTA」を構想する可能性が高いとみている。「TPPはアジア太平洋地域の経済覇権をめぐり、中国を封じ込める面が大きいため、どうにかして新たな構図を組むしかない」(チョン・インギョ仁荷大副総長)、「東アジア地域の重要性を無視することはできないはずだ」(パク・テホ元通商交渉本部長)といった理由からだ。