川上が「この動きが気持ち悪いんで」「人間が想像できない気持ち悪い動き」
とプレゼンしているからか、気持ち悪いという言葉が印象的ではあるが、宮崎駿がこういった「気持ち悪い」という感覚を共有しているとは思えない。
「そんなに気持ち悪いものをやりたいなら勝手にやってればいい」という発言があったが、
これだって川上の度重なる「気持ち悪い」発言を踏まえたもので、「気持ち悪い(と川上が思っている)ものを~」ということになるだろう。
「不愉快だ」と評したのは、このCGを「気持ち悪い」を連発しながらプレゼンされたからであって、CGそのものだけに不愉快だと思っているわけではないはずだ。
おそらくあのへたくそなプレゼンがなかったら宮崎駿もあそこまで怒らなかったのではないかと思う。
それは単純に、障害者の友人と毎朝触れ合ってきた経験があったからだ。
「気持ち悪い」と川上が言いながら紹介したものに対して、宮崎駿は純粋に毎朝触れ合ってきた友人を思い出した。
これは宮崎駿が「気持ち悪い」と思っていないからだ。友人と心を通わせてきたから気持ち悪いと思わずに単純に彼のことを思い出した。
川上のような人間に「気持ち悪い」といわれるような動きでも、彼らは生命で必死に体を動かしながら生きている。生命はみんなそうして必死に生きている。
宮崎駿はそうしたことをずっと意識しながら映画を作っていたはずだ。そんな彼にとって今回の件は許せなかったのだろう。
もちろん、川上に障害者を差別する意図はなかっただろう。彼は知らなかった。それだけだ。
誰にでもそういうことはあり得る。だから、今回宮崎駿に真剣に怒られたのは彼にとってよかったのだと思う。