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【ゴルフ】

松山英樹が23アンダーで完全V

2016年11月14日 紙面から

最終日、17番で富士山をバックにティーショットを放つ松山英樹=静岡・太平洋C御殿場Cで(武藤健一撮影)

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◇三井住友VISAマスターズ<最終日>

 ▽13日、静岡県御殿場市、太平洋C御殿場C(7246ヤード、パー72)▽晴れ、16・6度、南4・4メートル▽賞金総額2億円、優勝4000万円▽65選手(うちアマ1人)▽観衆7117人

 松山英樹(24)=レクサス=が初日からの首位を守り、自身初の完全優勝を圧勝で飾った。7バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの69でまとめ、大会新記録の通算23アンダーで2位に7打差をつけた。ちょうど5年前の11月13日にこの大会で初勝利を挙げて以来、日本ツアー通算8勝目。日本オープン、世界選手権シリーズ・HSBCチャンピオンズに続き、最近4戦で3勝という圧倒的な強さで合計3億3000万円以上を稼ぎ、今年の獲得賞金額を日米両ツアー合わせて7億円の大台(7億1400万円)に乗せた。石川遼(25)=カシオ=とタッグを組んで出場するW杯(24日開幕、豪州・メルボルン)に最高の形で乗り込む。

 松山はパターを握ったまま、静かにたたずんでいた。スタート前の練習グリーン。4日目にして、ようやく姿を見せた霊峰富士を眺め、穏やかな笑みを浮かべていた。

 「きれいだなと思って、ずっと見ていた。落ち着きますね」。アマチュアでツアー初優勝を飾った5年前とは比べものにならないほど、試合前も試合中も冷静だった。

 6番パー5。前日は右林に入れた後ナイスリカバリーでパーに収めたが、今回は左林に打ち込んでアンプレアブル。さらに4打目を池に入れ、痛恨のダボをたたいた。続く7番では2打目のアプローチでミスしてボギー。9番でも2打目をグリーン手前のバンカーに打ち込み、再びボギーを喫した。

 「出せない数字ではない」と狙っていたツアー記録の最少ストローク260、最多アンダーパーの28アンダーの更新は厳しく、スタート前に6打あった2位との差は3打に。「しんどかった」と言うが、内心は「1つずつ伸ばせばいい」と平然としていた。

 11番で2・5メートルを沈め、13番ではピンそば20センチに寄せるスーパーショットであっさりと息を吹き返した。18番パー5では2度目の池ポチャの直後、15センチに寄せる圧巻のショットでため息を歓声に裏返した。悠々とゴールテープを切った。

 だが、松山に祝勝ムードはほとんどなかった。

 「日本ツアーは、1日はまれば勝てる。米ツアーは3日はまらないと勝てない。今週は3日良かったので、この差になったと思う」

 勝って当たり前−そんなファンの期待に「応えようと必死にやっている」。宿命付けられた優勝だけを追い、果たすことで進化のスピードをより速めようと誰よりも貪欲だった。今季国内2戦2勝。決して至福ではないが、「勝つことは自信になる」。自らに課した責務を達成し、少しだけ頬を緩めた。

 今月末には、石川と出場するW杯が待っている。松山は「結果は最高だけど、内容は良くない。チーム戦になれば、足を引っ張ってしまう」とまで言った。その志の高さが、世界の頂点に続いているはずだ。 (松岡祐司)

 

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