説得力に欠ける朴大統領の「APEC欠席理由」

欠席理由は「韓半島の安全保障状況厳しい」
北朝鮮問題の鍵握る米中日露の首脳は出席、肝心の韓国首脳は…
国政の空白が現実化

 韓国外交部(省に相当)の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は8日、今年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(11月19-20日、ペルー)に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が出席しないことを明らかにした。北朝鮮の5回目の核実験実施など韓半島(朝鮮半島)の安全保障状況が厳しいことを理由に挙げ、「出席しないことは9月にすでに決まっていた」と述べた。外交部は「黄教安(ファン・ギョアン)首相が代わりに出席する可能性が高いが、政府はあらゆる状況に備えている」と説明した。APEC首脳会議に韓国の大統領が欠席するのは、1993年に米国で初の会議が開催されて以来、初めて。崔順実(チェ・スンシル)容疑者の国政介入疑惑で韓国政界が揺れる中、国政の空白が現実化し始めた格好だ。

 APEC首脳会議に朴大統領ではなく黄首相の出席を検討しているとの内容は、10月末には記者たちに明かされていたが、大統領のスケジュールに関する内容は慣例上、公式発表の前まで報道しない約束になっていた。

 10月末はちょうど「崔順実氏の国政介入疑惑」が拡大し始めた時期だった。その後今月2日、新首相候補に金秉準(キム・ビョンジュン)氏が指名され、黄首相の離任式に関するアナウンスが流れたもののこれが中止になり、APEC準備に奔走する実務陣は大きく混乱した。さらにメディアで「崔順実氏問題による外交の空白」問題が立て続けに取り上げられると、政府は最終的な出席者を発表する前に、大統領の欠席を明らかにし「9月にすでに決まっていた」と釈明したのだ。

 しかし政府はこれまで、朴大統領が国際会議に出席するたびに「北朝鮮の核問題解決を主導する」ことを最大のアピールポイントにしていた。そのため今回の欠席の理由を「韓半島の安全保障状況」としたことは説得力に欠ける。今回のAPEC首脳会議には米国のバラク・オバマ大統領、中国の習近平国家主席、日本の安倍晋三首相、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の出席が決まっている。北朝鮮問題の鍵を握る韓半島周辺の主要4か国の首脳が全員顔をそろえるわけだ。ある外交筋は「北朝鮮の5回目の核実験(9月9日)以降、朴大統領と習主席は電話会談すらしていない」として「習主席をはじめ米中日露の首脳が直接会う会議に韓国の首脳だけ出席しないのは、韓半島の安全保障の危機を韓国主導で解決するチャンスを逃すようなものだ」と指摘した。これについて政府の消息筋は「外交行事に関する政府の公式発表で『崔順実氏問題のため』とは言えないからではないか」と話した。

 APEC首脳会議には現段階では黄首相が代わりに出席する可能性が高いが、朴大統領が8日、「国会が推薦する首相を任命」との意向を明らかにしたため、新首相の人選や任命手続きの進み具合によっては出席者が変わる可能性がありそうだ。

イム・ミンヒョク記者
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