ここ2週間ほどの間に、高齢者による交通事故が頻発、7名もの方が犠牲になっています。
通学途中の小学生の列に軽トラックが突っ込んだり、駐車場から飛び出した車が歩道を歩いている人をはね飛ばしたり・・・、悲惨な事故が立て続けに発生しています。
報道を見ると、ブレーキとアクセルの踏み間違いといった「運転ミス」が原因。
加害者である高齢者には、おそらく、正常な運転能力が無いものと考えられます。
高齢者による交通事故原因
ところで、高齢者による交通事故は、何も今に始まったことではなく、ずいぶん以前から、問題視されていました。
一般的に、人は年を取ると、
- 視力が落ちたり、視野が狭くなったり、あるいは、耳が遠くなるなど、情報のインプットのレベルが下る
- 運動神経や反射神経など身体的な運動機能と反応が鈍くなる
- 記憶力や判断力が衰える
といった、まさに老いによる衰えが進んでいきます。
これらの衰えは、自動車の運転にモロに影響するものですから、年を取れば取るほど、自動車の運転には不適となっていくわけです。
ところが、年を取った本人は、その衰えを自覚していない、もしくは、衰えてきたけれど「まだ大丈夫」と思っていて、若いときの感覚で自動車を運転しているケースが多いのではないかと考えます。
高齢者の運転免許更新ルール
高齢者による自動車事故が問題となっている中、どのような対応が取られているのか調べてみました。
すると、年齢が70歳以上の人には、免許証の更新時に「高齢者講習・シニア運転者講習・チャレンジ講習+特定任意運転者講習(簡易講習)」のいずれかの受講が義務付けられています。
ここでは、主に
- 運転適性診断、夜間視力、動体視力検査等
- 実車運転と運転指導
が行われています。
実技的な診断はなされていますが、講習ですので受けるだけで免許証は更新されます。
*警視庁のHPに「試験ではないので、必ず終了証明書が交付されます。」と記載されています。
また、75歳以上の人は「講習予備検査」が必要となり、ここでは、認知機能のレベルが判定されます。
認知機能が著しく低下していても免許証は更新される!
「講習予備検査」では、記憶力・判断力がチェックされ、3段階評価されるのですが、驚いたのは、「記憶力・判断力が低くなっている」と判断された場合でも、講習会を受ければ、免許証は更新されるということ。
つまり、チェックはするけど、その結果がどれだけ運転に不適切だったとしても、ストレートに書くと、あきらかに認知症の人でも、免許証は更新されるのです。
これを知って、がくぜんとしました・・・。
何のための更新手続き?って思いますし、こんな状態だったら、高齢者による交通事故が頻発しても不思議ではないです。
法改正される
さらに調べると、現在、「記憶力・判断力が低くなっている」人が一年以内に違反がある場合は、医師による専門的な臨時適性検査を受けなければならず、その検査で認知症と診断されると免許取り消しになる、とのこと。
一応の歯止めはありました。
そして、来年(2017年)4月からは、「記憶力・判断力が低くなっている」人は、すみやかに医師による検査を受け、認知症と診断されると免許取り消しとなるように法改正されます。
これによって、高齢者による交通事故の発生数は、かなりマシになるでしょうね。
予備検査結果で更新をあきらめる人や、医師の診断書で免許を更新できない人が出てくるでしょうから。
年齢設定を撤廃すべし
この法改正は大歓迎です。しかし、対象者は75歳以上のままのようです。
ぜひ、この年齢設定を撤廃し、免許証更新者全員に義務付けてもらいたいと考えます。
たしかに高齢者ほど「記憶力・判断力が低くなっている」人は多いでしょう。でも、若くてもこれに該当する人はたくさんいるはず。
今の法改正では、若年の認知症は対象外となってしまいます。
この人たちをチェックするためには、免許証更新者全員を対象にするしかないと思うのです。
あわせて、「記憶力・判断力」以外の自動車運転への適性検査も実施すべきと考えます。
おわりに
自動車は、運転手次第で凶器になりうる機械です。自動車運転免許は、それを操作できる資格である以上、操作できる能力を証明するものであってしかるべき。
免許証の交付・更新においては、年齢に関わらず自動車の運転の適性検査を厳密に行い、ここで不適合となったら、免許は取り消しにする、これを徹底してもらいたいと思います。
では、また。