記念ロゴ入りのTシャツを着る近江学園の子供らと植田園長(右から2人目)=滋賀県立近江学園で、村瀬優子撮影
「知的障害者福祉の父」創設
「日本の知的障害者福祉の父」と呼ばれる糸賀一雄氏(1914~68年)が創設した知的障害児入所施設「滋賀県立近江学園」(同県湖南市)が15日、創立70周年を迎える。知的障害者への理解と尊重を呼びかける記念ロゴ入りのTシャツも製作した。今年7月には、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害される事件が発生。近江学園では「一人一人が輝ける存在で豊かな個性がある。『この子らを世の光に』と唱えた糸賀先生の思いを今こそ伝えたい」と願っている。
理解と尊重、記念Tシャツで訴え
近江学園は戦後間もない1946年、県職員だった糸賀氏が知的障害児や戦災孤児らの境遇に心を痛め、大津市に創設。障害児らが共に生活し教育や療養を受ける場として全国に先駆けた取り組みを進めた。48年に県立施設となり、71年に湖南市に移転。17歳までの男女が対象で現在約70人が入所し、職業訓練や創作活動にも励む。
「この子らに世の光を」とあわれみを求めるのではなく、「この子らを世の光に」と唱えた糸賀氏の理念を実践してきた。70年を記念するロゴは「光の三原色」の赤、緑、青を使い、子供たちが手をつなぐイメージを表現した。植田重一郎園長(59)は「糸賀先生は子供たちの命の尊厳や自己実現への思いを『光』で表した。光の三原色は混ぜると真っ白になる。子供たちの無限の色、あらゆる個性を大切にしたいという願いを込めた」と話す。
70周年記念事業では入所者に配布する「こどもの権利ノート」も作成。「あなたはこの世にひとりしかいない、とても大切な存在です。大きな夢や希望を持って成長していけるように、応援していきます」とつづった。記念ロゴを印刷したTシャツは保護者会が1枚2000円で販売。近江学園(0748・77・2811)。【村瀬優子】