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結論から書けば、今回の大統領選挙の結果についてフェイスブックは咎を負わせるのは、いくらなんでもやりすぎだろう。おそらく今は何かにその責任を押し付けたい心理が大きく作用しているのではないか。
一方で、少し前まで Facebook にいた小関悠さんのツイートを見て、そうなんだよねとも思ってしまうのだ。
Facebookで米国の知人たちが誰も喜んでないのを見ると、Facebookは否定するけど、これがフィルターバブルでなくてなんなのだろう、と思う。
— yu koseki (@youkoseki) November 9, 2016
アラブの春のように、個人に力を与えれば情報発信が増え、情報が増えれば正しいものが残り、正しい情報があれば皆が賢く行動するというのが、少し前までの情報社会の未来像だった。ほんの数年で、今やそんなことを信じる人は誰もいなくなった。2016年はそういう年なのかも。
— yu koseki (@youkoseki) November 9, 2016
ネット企業の多い西海岸も、メディア企業の多い東海岸も、トランプ支持者は少数派なのに、今回はトランプの言動がそうしたメディアやネットを席巻してばかりだった。本来リベラル寄りなはずのメディアやプラットフォームが、なぜこういう結果を生むのか、ものすごく皮肉ではないか。
— yu koseki (@youkoseki) November 9, 2016
ワタシが「我々は信頼に足るアルゴリズムを見極められるのか?」を書いたときは、ティム・オライリーが「アルゴリズム」についての文章で、なんでジャーナリズムの話を最後に持ってくるのか、そのときは正直よく分からなかった。
オライリーが引き合いに出す、CBS の最高経営責任者であるレスリー・ムーンブスの「ドナルド・トランプの選挙運動はアメリカのためにはならないだろうが、CBS にとってはすこぶるありがたいんだな」という発言の居心地の悪さは、長年に渡り連邦所得税を払ってないのが暴露された後も大してダメージを受けていないドナルド・トランプの現状に重なるわけですが、今回の大統領選挙は既存の報道機関だけでなく、Google や Facebook などのプラットフォーム企業にとっても正念場だと書きます。
既存の報道機関に報いるアルゴリズムが、ユーザに恩恵をもたらすアルゴリズムと相反する場合、Google や Facebook は果たしてそのどちらに与するかということのようです。ここまでくると日本人であるワタシには話の広げすぎにも思えるのですが、オライリーが提唱する、アルゴリズムが信頼に値するか判定する4つの基準は参考にする価値がありそうです。
我々は信頼に足るアルゴリズムを見極められるのか? - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
ティム・オライリーには今回の大統領選挙を受けて、Facebook が矢面に立つ可能性が見えていたのかもしれないな、とふと思ったりした。
またジャーナリズムとトランプ勝利が示した「アテンション・エコノミー時代」の憂鬱の関係の話は、ティム・ウーの新刊が対応しているのかもしれない。
フィルターバブル──インターネットが隠していること (ハヤカワ文庫NF)
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