経営×総務
なぜ、「戦略総務」か?
【第4回】 2016年11月14日
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豊田健一 [『月刊総務』編集長]

総務が社内で嫌われると「働き方改革」は失敗する

戦略総務に必要な10ヵ条【3】現場との良好な人間関係、信頼関係の構築

「働き方改革」は総務が主導しないとできない

 このところ新聞で取り上げられることの多い「働き方改革」。アベノミクスの大きな柱ともなっている。働き方改革、あるいはワークスタイル変革は、ともに従業員の働き方を大きく変えてもらう必要がある。そのためには「制度」「ITツール」「風土」、この3点を大きく変えることが必要であると言われている。

 まず、制度とツールに関しては、取り急ぎ、総務で制度設計をしたり、ITツールを導入することはできる。ここまでは、総務部内だけで対応が可能である。

 その後、全社に告知して、実際に社内の従業員に制度を順守してもらい、ツールを利用してもらうことが必要となる。この時に効いてくるのが、総務と現場社員との関係性である。総務が誰のために仕事をしているのか、を現場社員は必ず見抜くものである。

 現場を歩き、現場の声を聞き、現場を巻き込みながら全社導入していけば、現場社員は総務の真意を感じ、納得してその制度を守り、ツールを活用していく。

 一方で、現場のことは考えもせずに、経営側から言われたから制度を構築したり、「他社も入れているから」程度の動機でITツールを導入したものであれば、従業員はそれを感じとり、あからさまな反対はしないものの、その制度やツールは使われないものとなる可能性がある。

 働き方改革や健康経営など、今後は全社的な活動が大きくなっていく。その運営主体となるのは総務だ。だから、「総務と現場社員との信頼関係の良し悪しが、全社を変える取り組みに大きな影響を与えることになる」というのが今回のテーマである。

総務の仕事は「作って、決めて、活用してもらうこと」

 総務の仕事は、どのような種類の仕事が多いのか。先に記したように、健康経営の実践やら、ワークプレイスの変革などの新たなルールを作成したり、既存のルールを改訂したりする仕事。新たなサービスを導入したり、既存のサービスを変更したりする仕事が多い。

 どのような仕事であれ、以下のプロセスが必要となる。

 総務部で決めて、全社に周知して、現場社員に理解してもらい、遵守してもらうか、使用方法通りに活用してもらうか。つまり、総務の多くの仕事は「決めて、作って、現場社員に活用してもらう」仕事が多いのである。

 繰り返しになるが、活用してもらうべき現場社員と総務部との信頼関係がそのベースに必要となる。その際、知っておいて欲しいのは、「何を言うか」より、「誰が言っているか」の方が現場社員の心理に影響を与えることである。つまり、「誰が言うか」により、その内容を守ってもらえるかどうかが大きく左右される。

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豊田健一 [『月刊総務』編集長]

【経歴】

株式会社リクルート入社。経理、中途採用媒体の営業、総務、販売会社の計数管理を担当。株式会社魚力に入社。総務課長として本社移転、株式公開を担当後、株式会社ナナ・コーポレート・コミュニケーションに入社。取締役総合事業開発室長として、『月刊総務』の編集に携わる。その後、総務向けおたすけサイト「月刊総務オンライン」、社内誌編集サポートサービス「Commu-Suppo」を立ち上げ、 社内広報事業部の取締役、ナナ総合コミュニケーション研究所の所長として、社内広報の研究と社内広報のコンサルティングを担当。

2011年7月 一般社団法人組織内コミュニケーション協会 専務理事に就任。
2012年6月 『月刊総務』編集長、ナナ総合コミュニケーション研究所 主任研究員に就任。
2015年7月 『月刊総務』編集長、ナナ総合コミュニケーション研究所 所長に就任。

【セミナー・講演・研修等】

【総務担当者を対象としたもの】
・『月刊総務』45周年記念セミナー 基調報告 「企業における最新・総務部門の価値」
・ソフトブレーンセミナー 『総務部門の現状と課題、アンケート結果から』
・株式会社ゼロイン 最新総務実態調査から考える、これからの総務
・株式会社ジェイブレイン 「企業における最新・総務部門の価値」
・東京商工会議所 最新総務実態調査から考える、これからの総務
・札幌商工会議所 「今後、総務部に求められることとは?」
 〜従業員の安全と安心を守る総務部〜
・日本経営協会 関西支部 「今後、総務部に求められることとは?」 
・株式会社内田洋行 記念講演 「今後の総務部の在り方」

【営業担当者を対象としたもの】
・株式会社創英 互社道場セミナー 総務部門を訪問する営業向け
 「総務部門について理解しよう」セミナー
・株式会社共立メンテナンス 総務部門を訪問する営業向け
 「総務部門について理解しよう」セミナー
・株式会社写真化学 総務部門を訪問する営業向け
 「総務部門について理解しよう」セミナー
・社団法人印刷技術協会
 「フットワークの良し悪しが選考ポイント (信頼できる印刷営業のススメ)」
・株式会社広英社 「社内報営業勉強会」
・社団法人印刷技術協会 「社内報市場と求められる印刷会社の役割」
・社団法人印刷技術協会
 「企業コミュニケーションとメディア展開」、「社内報市場と求められる印刷会社の役割」
・株式会社エンファクトリー [en College]会員限定:
 月刊総務編集長が語る 企業の総務担当者が読みたくなる情報とは
・株式会社USEN 営業勉強会 「総務を知り、総務目線でのメッセージの作り方」

【広報担当者を対象としたもの】
・株式会社ニューズ・ツー・ユー PR大学 『社内誌白書2009』に見る社内報の現況
・株式会社ニューズ・ツー・ユー PR大学 読まれる社内報、効果的なリニュアル
・株式会社ニューズ・ツー・ユー 読まれて行動に結びつく社内報、Web社内報の実務セミナー
・株式会社ゼロイン ギスギスした社内をサラサラにする!
 〜社内のリアルコミュニケーション力向上セミナー〜
・有限会社人事労務 社内コミュニケーション、社内広報そして社内報
・若手広報担当者の会 社内報の最近の特徴と社内コミュニケーションの効果
・宣伝会議 『社内誌白書2009』に見る社内報の現況
・三菱グループ広報委員会 社内報の本質を捉えるには セミナー
・株式会社光邦 効果的な「社内報のリニュアル」を考えるセミナー、
 読まれて行動に結びつく社内報、実務セミナー
・某大手メーカー 「コミュニケーション・エンジニアリング」
 〜思いをカタチにする方法、考えていますか?〜
・一般社団法人組織内コミュニケーション協会主催
 社内広報勉強会、Web社内報勉強会 講師、ファシリティター
・一般社団法人組織内コミュニケーション協会主催
 社内コミュニケーション・シンポジウム パネリスト
・一般社団法人組織内コミュニケーション協会主催
 アイコム流 社内報改善100ポイント講座

【執筆等】

・豊田健一著、青木健生シナリオ制作、嶋津蓮作画『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター発行、2016年2月)
・『月刊総務』別冊付録 「選ばれる営業」、「レイアウト変更の実務」、 「車両管理と安全運転管理」「防災管理」、「文書管理」、「株主総会の実務」、 「総務の年間業務」、『社内誌白書2005、2007、2009』、社内誌ガイドブック
・印刷技術協会 『プリバリ印』
・株式会社ニューズツーユー 「ネットPR.JP」
・日本経済新聞社 NIKKEI NET 「Biz Plus」


なぜ、「戦略総務」か?

総務を単なる「社内の縁の下の力持ち」ではなく、コア業務の担い手、つまり"戦略総務"にすることが、会社を変革するための重要な戦略となる――。なぜ今、戦略総務なのか。その必要性について考える。

「なぜ、「戦略総務」か?」

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