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半年ほど前、英国(Bretain)がEUから脱退(Exit)するいわゆる"Brexit"が、投票により決まりました。英国の通貨ポンドが急落するなど経済にも大きな影響を及ぼしました。
そして新たに論争を生んでいるのが、米国です。トランプ氏が大統領選挙で勝利したことで、各地でデモが起こっています。そんな中でも特に、カリフォルニア州では、州として独立しアメリカから抜けるという運動 "Yes California"がさらに加熱しています。
この運動は2015年以前から存在していましたが、今回のトランプ氏勝利をうけ、一気にメンバーが集まってきています。FacebookページのLikeの数も11月8日を堺に2倍に跳ね上がっています。Yes Californiaでは2018年, 2019年と投票を実施し、Calexitを目指しますが、仮に独立したとすると、何が起こるでしょうか。
まず税金を合衆国の連邦政府にではなく、独立したカリフォルニア国へ納めるようになります。この動きはすでに整理しようという人々が立ち上げっているようです。
またカリフォルニア国は、USドルを使い続けることができます。エクアドルや、エルサルバドルのように、米国政府の許可なくUSドルを「自国の通貨」として使用することが可能です。(少々現実離れしますが、2020年にでもなるとBitcoinなどの仮想通貨・暗号通貨を自国の通貨として考えても悪くはないと個人的には思います。)
さらに社会福祉などについても整備を目指しており、年金などは米国から送金できる範囲であれば、米国外にいても送金するとしています。
しかし情報を集める限り現状はまだ実現は遠い道のりとなっています。深刻な問題が水です。日本にいるとあまり意識しませんが、乾燥している米国の西海岸では、近年水不足に悩まされています。今年は比較的サンフランシスコ等で雨が降っていますが、まだ他の州に水を頼っている状況です。いざCaliexitとなれば、うまく外交をしないと競争力を水によって失ってしまいます。得意の技術イノベーションで水問題を解決しようとしているのも頷けます。
Yes Californiaに対して以下のようなツイートをしている人もいます。やるなら水は自分たちでどうにかしてくれという意味です。
Go ahead, California.....secede. Just don't expect any fresh water from the other 49! #Calexit
— URC (@TheURCShow) 2016年11月9日
しかしカリフォルニアは米国きっての農業地帯です。米国の野菜生産の1/3、ナッツ・フルーツ生産の2/3がカリフォルニアで生産されたものです。米国としてはアボカドなどの必須食材を相当数カリフォルニアに依存しています。そこでYes California「水がなくなるぞ」という脅しに対し「水がないなら食材もできないよ」とTwitter上で反論しています。
No water, no food. California feeds the USA. The water will keep flowing. #Calexit https://t.co/qXMHKaVYc1
— Yes California (@YesCalifornia) 2016年11月10日
よく調べると、2015年で47Billionドル(約4兆7000億円)ものお金を農業で得ているのがカリフォルニアです。
国全体で議論と綿密な調査が必要になるでしょうが、経済やトレードのポリシーでいうと日本も大きく関係してくるでしょう。まだ長い道のりですが、現状がいつまでも維持されるわけではありません。