第45回「完封」で描かれた真田丸決戦。ドラマの演出上、あえて再現しなかった「真田丸」のポイントをいくつかご紹介します。
●安全に配慮し、堀の作りが違う
真田幸村が築いた真田丸(出丸・出城)は、徳川軍を退けるための防衛施設です。これを本気で再現すると、当然、けが人が続出するので、撮影と安全面の両方に 配慮して作られています。
1)堀の傾斜
堀の傾斜は、実際よりも緩やかな作りにしてあります。直角に近い角度では、撮影になりません。
2)堀底の作り
実際の真田丸の堀底は、敵兵の足場を奪うために柵が設けられ、さらに、堀の中がいくつかの区画に分けられた障子掘となっています。つまり、堀を駆け上がるための助走距離が削られている状態です。しかし、障子掘を再現するととても撮影にならないので、断念しました。
ちなみに、第45回「完封」で真田兵は、遠距離用の武器としては高梨内記を除き鉄砲を用いて徳川軍を撃退していましたが、実際には弓矢も使用しています。
●真田丸に掲げられた軍旗が違う
真田丸に掲げられた軍旗は、六文銭が描かれた赤い旗で統一されていましたが、実際にはもっとたくさんの種類の軍旗が掲げられていました。第44回「築城」において堀田作兵衛が掲げ、櫓(やぐら)の一番高いところに掲げられたのは、六文銭をあしらった四角形の赤い旗となっていますが、実際には真田家の当主が使う馬印である、六文銭をあしらった四角形の黒い旗が掲げられていました。
『真田丸』では、昌幸が九度山で亡くなった際に、当主の旗と昌幸の甲冑は信之に引き継いだという設定です。