豊臣の若武者・木村重成を演じるのは白石隼也さん。
撮影序盤に話をうかがいました!
木村重成は歌舞伎などでも取り上げられている戦国武将ですが、実際にどのような人物であったかという記録はあまり残っていないようです。撮影に入る前に調べてはみましたが、武勇伝などは創作じゃないかと思えたので、人物像は脚本で固めていこうと思っていました。
受け取った脚本での重成は、僕が思っていた通りでした。誠実で物腰の柔らかい男と描かれており、裏表なく、正義感の強い男です。秀頼と牢人(ろうにん)衆の間に挟まれる重成は、秀吉の馬廻(うままわり)衆として豊臣家に仕えていた幸村に重なるものがあるかもしれません。重成は若く経験もないけれど、幸村と同じく、物事を俯瞰(ふかん)して見ることができる、器の大きな人物だったのでは、と僕は考えています。
重成は生い立ちについては諸説ありますが、その中でも、父が亡くなった後に数年間、知り合いの家に預けられて育ったという説を、役作りに使おうと考えました。ずっと大坂城の中で育った秀頼と違い、外の世界も見てきたからこそ、柔軟に物事を受け入れられたのだろう、と思ったからです。次第に牢人衆に引き寄せられる重成ですが、そこには可愛がってもらえたという理由もありますが、大坂城のお偉方たちよりも、牢人衆たちの言い分に説得力を感じていたのでしょう。重成は、秀頼に対して強い思いがあり、若くして上の立場を与えてくれている豊臣に、感謝の思いを抱いていたと思います。秀次の家臣であったと言われている父が、秀次の切腹事件後に処刑されたにもかかわらず、重成は大坂城で働かせてもらえているのですから。
撮影初日は、あまり緊張することはないかと思っていましたが、いざやってみると、かなり緊張しました。第43回「軍議」では、真田幸村をはじめ百戦錬磨の牢人衆と渡り合っていますが、重成はこれまで戦に出たことがなく、軍議を含めてすべてが初めての経験です。それを悟られないように牢人たちと戦わねばと思い、勢いよく演じました。
役者をやっていると、売れたいとか人気者になりたいとか考えてしまうのですが、そんなことを思って演じると失敗してしまうので、野心を意識的に潰すように心がけています。過去に苦い経験をしてしまったんです。目立ってやろうとすると必ず空回りするし、共演者にも嫌われてしまうんですよね(笑)。大河ドラマに出演することは名誉なことで、注目もされますが、欲を出さずに重成を演じていきたいと考えています。欲を出したら「負け」な気がしますね。
結果、堺雅人さんが「ああいうふうな芝居をしてくるとは思わなかった。よかった」と言ってくださり、できる限りのことはできたと思っています。でも、いろいろな思いや緊張からか、体は震えていました(笑)。
周囲はそうそうたる先輩ばかりです。皆さんのパワーに負けないよう、自分なりの作戦は考えていますが、詳しいことは秘密です(笑)。
役者をやっていると、売れたいとか人気者になりたいとか考えてしまうのですが、そんなことを思って演じると失敗してしまうので、野心を意識的に潰すように心がけています。過去に苦い経験をしてしまったんです。目立ってやろうとすると必ず空回りするし、共演者にも嫌われてしまうんですよね(笑)。大河ドラマに出演することは名誉なことで、注目もされますが、欲を出さずに重成を演じていきたいと考えています。欲を出したら「負け」な気がしますね。
役者をやる以上、大河ドラマ出演は一つの大きな目標です。「いつか大河ドラマに出たい」という思いから、乗馬を習ったりしていました。残念ながら、『真田丸』では機会がないようですが(笑)。他にも、役者としての力をつけるために、落語を学んだりもしていました。役者って、一人ではほとんど何もできないんです。
役者は脚本がなければ何もできないし、誰かがいなければ何もできない表現者なので、そういう意味で、小枝と座布団一枚で何か芸ができる落語というのは、すごくいいなと思います。
現代劇ではありますが、映画の撮影で3か月間、剣を振っていたこともあり、アクションシーンはワクワクします。木村重成は強い男だったと伝えられていますから、戦国好きの、それも大坂方好きの方々に喜んでもらえるように、「これこそ重成」という武将を演じたいと思っています。
だから、一人ですべてをこなす落語は、芝居の糧になるのでは、と考えたんです。落語は一人で何役もやりますから、あまり一人の登場人物の感情を重視しすぎると、次の役に切り替えるタイミングを失うことになります。落語をきちんと演じようとすると、客観的にならなければいけないんですよ。一つの役を演じる芝居と違って、落語は感情を込める割合が変わりますから。
役者は脚本がなければ何もできないし、誰かがいなければ何もできない表現者なので、そういう意味で、小枝と座布団一枚で何か芸ができる落語というのは、すごくいいなと思います。
現代劇ではありますが、映画の撮影で3か月間、剣を振っていたこともあり、アクションシーンはワクワクします。木村重成は強い男だったと伝えられていますから、戦国好きの、それも大坂方好きの方々に喜んでもらえるように、「これこそ重成」という武将を演じたいと思っています。