トランプ次期大統領で温暖化対策資金削減か 不安広がる

トランプ次期大統領で温暖化対策資金削減か 不安広がる
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北アフリカのモロッコで開かれている地球温暖化対策を話し合う国連の会議COP22の会場では、アメリカの次期大統領に選ばれたトランプ氏が、温暖化対策に欠かせない発展途上国への資金支援を削減するのではないかと不安や懸念が広がっています。
COP22の会場では、アメリカの次期大統領に、温暖化はでっち上げだとして、パリ協定からの脱退も示唆しているトランプ氏が選ばれたことに、発展途上国などから懸念が広がっています。

特に懸念されているのが、アメリカが拠出している途上国の温暖化対策のための資金支援が削減されることです。このうち「緑の気候基金」と呼ばれる基金では、およそ100億ドルのうち、最も多い30億ドルを拠出することになっていました。しかし、トランプ氏は、国際的な温暖化対策への拠出金を減らすとしていて、実際に削減されれば、途上国の対策が大幅に遅れるおそれがあります。

エチオピア政府交渉団の男性は、「温暖化対策に取り組むためには、資金や技術面での支援が必要不可欠で、それが無ければわれわれは削減目標を達成できない。トランプ氏が考え方を改めてくれることを願っている」と述べ、先進国からの支援の重要性を訴えていました。

また、南太平洋の島国、パラオ政府交渉団の代表は、「海抜が低い島国の未来は、アメリカのような温室効果ガスの大排出国にかかっている」と述べ、温暖化対策において、アメリカが果たす役割は大きく、島しょ国の命運をも握っていると指摘しました。

一方、日本の首席交渉官を務める外務省の牛尾滋参事官も、「アメリカの負担額は大きいので、もし資金支援をやめれば、穴埋めをどの国がするのかという議論になると思う。途上国としてみれば約束が違うということになり、今後の交渉の雲行きが怪しくなっているのは事実だ」と述べ、世界の温暖化対策に欠かせないアメリカの資金支援が、今後どうなるのか各国の不安が広がっています。

途上国「資金や技術の支援ないと目標達成できず」

特に懸念されているのは、アメリカが拠出している途上国の温暖化対策のための資金支援が削減されることです。

このうち「緑の気候基金」と呼ばれる途上国の温暖化対策を支援するための基金、およそ100億ドルのうち最も多い30億ドルを拠出することになっているなど、資金面で温暖化対策をけん引してきました。しかしトランプ氏は、国際的な温暖化対策への拠出金を減らすとしていて、実際に資金援助が削減されれば、途上国の対策が大幅に遅れるおそれがあります。エチオピア政府交渉団の男性は、「温暖化対策に取り組むためには、資金や技術面での支援が必要不可欠で、それが無ければ、われわれは削減目標を達成できない。トランプ氏が考え方を改めてくれることを願っている」と話していました。

また、トンガの副首相は、「まさに、温暖化対策の事業のために緑の気候基金に申請をしているところだ。私たちには、基金が欠かせない」と述べ、先進国からの支援の重要性を訴えていました。

島しょ国 米国のリーダーシップ求める

海面の上昇により、国土が浸水してしまうおそれに直面している島しょ国からは、引き続きアメリカが温暖化対策でリーダーシップを発揮してほしいという声が相次いでいます。

このうち、南太平洋の島国、パラオ政府交渉団の代表は、「海抜が低い島国の未来は、アメリカのような温室効果ガスの大排出国にかかっている」と述べ、温暖化対策においてアメリカが果たす役割は大きく、島しょ国の命運をも握っていると指摘しました。そのうえで、「アメリカは、日本などとともにパラオの対策を支援する最大のパートナーのひとつだ。内政を重視したいのはわかるが、引き続きパリ協定に基づいて支援に取り組んでくれると信じたい」と述べ、トランプ次期大統領に、オバマ政権の方針を引き継いでほしいと訴えました。

また、インド洋の島国、モルディブ政府交渉団の男性は、「アメリカを含む地球上のすべての国が、異常気象の脅威にさらされていることを認識し、それぞれの役割を果たさなければならない。アメリカが引き続きこれまでのリーダーシップを発揮してくれることを願っている」と話していました。