【今週の注目記事】
「なんで?」と問う実母にハンマー一撃 両親にカネ無心され…おとなしい男を凶行に走らせた家族の呪縛
「結婚や店の経営などで、2人のことを考えずにすんだ時期は良かったが、2人と過ごす時間が増えたとき、心理的な防衛である我慢が限界に達し、ひたすら金を要求され、抑圧される家族関係を破壊しようと行動した」
「償い方が分からない」
判決もこうした見方に同意し、犯行に至るまでの心理について「次第に怒りや憎しみ、憤りを含む負の感情を意識的、あるいは無意識的に蓄積させていた。その後、2人と同居するようになったことでよりいっそう強いストレスを感じるようになり、何とか抑えていた2人に対する負の感情がついにあふれ出した」と指摘。「以前から漠然と抱いていた、実母らにいなくなってほしいという思いが行動に結びつき、犯行に至ったと考えられる」とした。
そして、2人の命が奪われたという結果は極めて重大で「最も重視すべき事情」としながらも、実母らから逃れるためとして殺害以外の他の手段をとらなかった理由には、(1)実母が養育放棄的態度を示していたことで形成された、問題から目を背けて回避する性格(2)長年理不尽な扱いを受ける中で形成された、従うしかない、関係を断ち切るのは難しいといった心理-があったと言及した。
最終意見陳述で「2人の命が尽きる瞬間、どんな思いだったか考えるだけで…。罪の償い方が1年以上たった今でも分からないままです」と声を詰まらせた崔被告。裁判長が「お姉さんたちが一生懸命、あなたの社会復帰のためにがんばると言っている。しっかりと助けを借りて更生してほしい」と声をかけると、「はい」と小さく答えた。
崔被告は期限内に控訴せず、懲役25年が確定した。(11月7日掲載)